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これを受けて早速、厚生労働省は昨年9月から食品衛生審議会遺伝子組換え食品等調査会で、ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて審議を開始し、わずか4回の審議で同12月に報告書をまとめた。そのなかで、「何らかの悪影響が発生する可能性は十分に考慮する必要がある」としながらも「遺伝子組換え食品とは異なる扱いとすると整理することは妥当」「法的な義務化は必要としないが、開発者等から必要な情報の届け出」を求めると結論付けた。
要するに、遺伝子組み換え食品のような安全審査は必要なく、法的な義務のない情報の届け出さえすればいいというものである。当然、表示義務もない。
これに対して消費者団体や学界、マスコミから次々と懸念が表明されている。
「遺伝子組換え食品の安全性審査対象外になった食品においても、自然界の突然変異育種と変わらないという理由から何の規制もなく食卓に上ることになれば、消費者の不安を惹起する」(全国消団連加盟団体FOOCOM)
「ゲノム編集技術の応用で生み出される食品についても、安全性への疑問、また生物多様性への影響や『種子の独占』のさらなる拡大について深い懸念を表明」(生活クラブ連合会)
「中長期的な生態系の維持を犠牲にした『イノベーション』の推進には注意が必要です。自然環境への影響、食の安全、食品表示のあり方を一つずつ考えていく必要があります」(日本ゲノム編集学会)
「ゲノム編集の過程で想定外の変異が生じないと言い切れるのか。審査を不要とする根拠については、もっと時間をかけた慎重な議論が必要」(京都新聞)
政府はこれらの懸念に答えていない。ゲノム編集食品は、EUでは遺伝子組み換え食品と同等の扱いで、安全審査も義務付けられている。日本においても国民的議論がさらに必要であることは言うまでもない。
(文=小倉正行/フリーライター)
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