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●大学も社畜養成機関になり果てている
それまでの学校教育を批判的に見つめ直せるはずの大学に進学しても、すでに大学は就職のための予備校と化しており、多くの学生にとってどうすれば就職活動に有利になるかだけを考える社畜の養成機関になり果てている。
そして50社から100社程度受験しないと内定に至らない就職活動では、数え切れないほどの拒絶を受ける。価値のない、役立たずな人間のように思えてきた時点で内定通知を受けると、その「選んでくれた」会社に対し特別な好意、強い恩義を抱き、率先して社畜になろうとするというのだ。
さらに、入社後は軍事教練のような新人研修と社内の社畜たちの同調圧力を受けて、気がつけば「やりがいのある仕事につけたら、それで幸せ」「つらくてもいいから成長したい」「給料をもらっている以上、プロ」「言い訳は悪」「経営者目線を持って仕事をすべき」「どれだけ頑張ったかが大事」などといった仕事観を持つ、社会人という名の社畜が完成する。本書では、そんなドラスティックな主張が展開されていくのだ。
脱社畜のために著者は、「仕事は会社と従業員の契約関係にすぎず、過度なやりがいを仕事に求めないこと」「経営者目線を持つことが大事だとされるが、『従業員目線』を持つことこそが大事」「会社を取引先ととらえて、適切に距離を保ちながら働く必要がある」などとアドバイスする。
著者は戦後から社畜化教育の歴史を振り返るが、歴史を見れば、明治期の「軍人勅諭」や「教育勅語」に見られる「滅私奉公」の思想が、戦後は「国」から「会社」へとその対象を変えたにすぎないことは明らか。社畜化教育は「古くて新しい問題」なのだ。
(文=和田実)
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