(1)は時間がかかりすぎて、キャッシュを得られる頃には国家破産してしまう恐れがある。(2)は中国への依存が高まりすぎるリスクがある。もちろん、モンゴル政府も国民も中国の属国になることは望んでいない。
となると、俄然(3)の可能性が高まるが、モンゴルには対外債務を対GDP比で40%以内に収めるという法律があり、支援を受けるためには法改正が必要だ。上限を70%に上げる法案は一度国会で否決されており、この解決策も採用するのは容易ではない。
このままいけば、17年から始まるチンギス国債の償還は、非常に困難になることは間違いないだろう。利払いに窮したり、元本が返せなかったりした場合、いわゆるアルゼンチン型の国家破産に至る可能性もある。
しかし、アルゼンチンは国家破産したそのたった2年後に、奇跡の復活を遂げた。この復活以降、アルゼンチン経済は強くなった。例えば、リーマンショックの影響も最小限に抑え、高い経済成長率をキープしたことはあまり知られていない。
01年にアルゼンチンが国家破産した時、実質GDP成長率はマイナス4.41%だった。翌年の02年はさらに悲惨で実質GDP成長率はマイナス10.81%まで低迷したが、03年に8.96%にV字回復すると、その後11年まで概ね8%程度の経済成長が続いた。最近でこそ成長率は4%まで鈍化しているが、03年からの約8年間の経済パフォーマンスは極めて良好だったと言っていいだろう(ただし先月、アルゼンチンは債務減免に応じない一部少数投資家との裁判に敗訴したため、返済資金はあるのに債務の返済が禁じられるという事態、「テクニカル・デフォルト」に陥る可能性がある)。
モンゴル経済についても、これと同じことが起こるかもしれない。その理由は為替レートの大幅な切り下げなのだが、詳しいメカニズムについては拙書『「日銀貴族」が国を滅ぼす』(光文社新書)などを参照してほしい。
モンゴルには莫大な天然資源が眠っており、そのほとんどがまだ手つかずのままである。オーストラリアやカナダをモデルとして、少ない人口ながら資源を輸出しつつ経済発展する道も残されている。また、2年後の16年には国政選挙があり、再び政権交代によって政策が大きく転換する可能性もある。
モンゴルの不動産業界は、オユトルゴイ銅山の操業で多くの外国人がウランバートルを訪れるだろうと見込んでいた。しかし、操業延期となったことで、彼らの需要を見込んでいたコンドミニアムの買い手が付かない状態だ。中国の金持ちも不動産バブル崩壊で元気がない。韓国も景気は低迷しており、まさに中国と共倒れの様相だ。
そんな中、唯一ウランバートルの不動産に手を出せそうなのは、アベノミクスで好調の日本の投資家だけかもしれない。金融危機で投げ売り状態になれば、理想的な底値買いができる可能性もあり、金融危機でモンゴルトグログが暴落すれば価格そのものも安くなり、相対的にリスクも小さくなってくる。もちろん、極めてリスクが高い投資なので、慎重な判断が必要なことはいうまでもない。
(文=上念司/株式会社「監査と分析」代表取締役)
【モンゴリアンプロパティが開発している、ウランバートル市内の高級コンドミニアム】
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