10月9日に文部科学省の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」で提案された「G型大学」「L型大学」が、さまざまな議論を呼び、「大学とは何か」というような議論にまで発展している。
提案の趣旨としては、現在ある大学を、グローバル人材を育てる「G(グローバル)型大学」と、職業訓練校的な教育を施す「L(ローカル)型大学」とに分ける教育改革をしようというのだ。
そこで今回は、同会議にて経営共創基盤CEOの冨山和彦氏が提案した内容を会議資料から確認しつつ、大学と企業、日本経済の抱える問題点を改めてあぶり出したい。
●高度経済成長期の3.6倍にまで膨らんだ大学卒業生
今回の提言のベースにあるのは、大学生そのものが多くなったことだ。第1回東京オリンピックの翌年、高度経済成長期に当たる1965年の大学卒業生は15万人程度だった。しかし、約半世紀を過ぎた2013年には、55万人が大学を卒業した。つまり約3.6倍の大卒生が毎年、労働市場に出ていることになる。
65年当時の労働力人口(15歳以上の人口×労働参加率)は約5000万人、13年では6577万人であり、労働力人口に占める大卒生の比率はぐんと高まったことになる。
このことは、就職活動にも如実に現れている。偏差値上位校の学生はいくつもの内定が獲得できるのに、それ以外の学生は面接にすらいけないと悩んでいる。採用試験の受験を希望する企業に対して提出するエントリーシートが50~100通に上ることも珍しくないという学生の嘆きは、大学生が増えたことも一因だといえる。
しかも上位校以外の大学は、少子化の影響を受けて定員割れに悩むようになってきた。「大学全入時代」となり、大学進学を希望すれば、どこかの大学には入学できるようになってきたのだ。また、同じようなノウハウ本を参考にした個性のないエントリーシートが大量に提出され、どの学生にも差異はなく、企業側の採用担当者からすれば大学名しか評価できるモノサシがないという状況でもあるのだ。