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大みそか視聴率惨敗のフジ、実は英断?実態反映しない視聴率、録画再生では真逆?

文=大坪和博/PLAN G代表

大みそか視聴率惨敗のフジ、実は英断?実態反映しない視聴率、録画再生では真逆?の画像1フジテレビ本社 (「Wikipedia」より/Defchris)
 1月5日付日刊スポーツ記事『戦わずに惨敗…フジの淋しい年越し』で、昨年大みそかにフジテレビが放送した『ワンピース エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜 2014年特別版』が、視聴率わずか3.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で惨敗と報じられている。同番組は、08年に公開された劇場版第9作の特別版で、11年3月にも一度放送されている。そのため、勝てない戦に金をかけず、最初から勝負を捨てているとして批判されているのだ。

 しかし、かねてから視聴率に対しては、テレビ界の一方的な評価指標にすぎないとの批判も多い。

 そもそも視聴率とは、各テレビ番組を、それぞれの地区のテレビ所有世帯のうち、どのくらいの割合が視聴したかを表す推定値でしかない。ビデオリサーチ社が、モニター世帯から得られるデータを基にして算出している。ピープルメータ(PM)というシステムを用いて、1世帯8台までのテレビの世帯視聴率と個人視聴率を1分単位で測定する方法から、日記式のアンケートを用いて、5分ごとに個人視聴率を調査する方法まで行っている。モニターは全国27地区6600世帯だが、全国5195万世帯(2010年国勢調査)からみると、わずか0.01%のサンプルしか調査をしていないのだ。この程度の精度でしかないものに一喜一憂しているのが、テレビ業界なのである。

 しかも、パソコンテレビは調査対象となっているようだが、録画視聴は対象外となっている。現在では録画設備を備えている家庭は大多数と見られ、録画視聴を対象に含まない調査方法はテレビ視聴全体を正確に反映できているとはいえない。

●多様化する視聴スタイル

 筆者の自宅では、ケーブルテレビを利用して視聴している。14年10月総務省発表の「ケーブルテレビの現状」によると、ケーブルテレビに加入している世帯は全国で2874万件に上り、普及率は50%を超えているという。我が家のケーブルテレビの端末には、HDD(ハードディスクドライブ)録画機能がついているが、今では多くのケーブルテレビ事業者が、このような端末を契約者に貸与しているようだ。

 このHDD録画機能の優れている点は、同時に2つ以上の番組の録画ができることだ。細かくチャンネルを変更して視聴していても、好みの番組はしっかり録画できるので、後から見直すことができる。また、時間差で番組の冒頭から見ることもできる。

 大みそかの夜、小学生の愚息は『ワンピース』が放送されているのを知ると「録画したい」と言い出した。しかし、筆者と妻はじっくりと『NHK紅白歌合戦』を見たい。そこで、風呂から出た愚息に録画した『ワンピース』を時間差で見せ、愚息が就寝した後、大人はさらに時間差で『紅白歌合戦』を最初から最後まで楽しんだ。

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