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例えば福祉先進国の多いヨーロッパだが、イギリスでは公的年金の受給開始年齢を65歳から68歳に引き上げることを決定しており、ドイツでも67歳への引き上げを決定している。イギリスもドイツも平均寿命が日本よりも2年程度短いことを考えれば、当然のことながら、日本は支給開始年齢を70歳以上にしなければならない。現在、やっと65歳に段階的に引き上げているところなので、年金財政が破たんするのも無理はない。ただ、年金だけで生活している高齢者がいるのも事実で、そうした高齢者は年金を削られたら暮らしていけない。
年金制度を維持する施策としては、元気な高齢者が労働可能な制度・環境整備や、富裕層への年金支給額削減・支給開始年齢の延伸などが挙げられる。幸い、日本の高齢者は総じて勤労意欲が高く、65歳以降も働き続けたいと考えている人が多いといわれる。政府は「雇用環境が改善されて実質定年が延長されるのを待たなければ、年金支給開始年齢を延伸することはできない」との姿勢だが、企業の自主的な取り組みを待っていては、いつまでたっても年金財政の健全化は達成できない。今すぐにでも実質定年を70歳程度まで引き上げるべきである。
マクロ経済スライドという給付抑制策だけで年金財政問題は解決しないし、若者や現役世代へのツケが延々と回っていくのである。
(文=横山渉/ジャーナリスト)
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