自民党の有力国会議員が、筆者にこう耳打ちをするが、「致命的ともいえるスキャンダル」というだけでは、あまりにも曖昧だ。そこで各方面への取材を進めると、興味深い話にぶつかった。
「その噂に関しては、もうすでに首相官邸もキャッチしています。なんでも江田氏に関する女性スキャンダルだそうで、某雑誌はその証拠となる写真の入手に成功しているそうです」(官邸中枢スタッフ)
確かに、この噂がもし仮に事実だとしたら、江田代表にとってはまさに致命的だろう。しかもその影響は、江田氏に及ぶだけにはとどまらず、維新の党をも大きく揺るがすことになるのは必至だ。
さらにその余波は、維新の党が天王山と位置づける、大阪都構想の是非を問う住民投票(5月17日)にも大きく及ぶことになるはずだ。
各種世論調査の結果からも窺える、大阪都構想に対する大阪市民の反応は、現時点では賛成と反対がほぼ拮抗した状態にあるといっていい。構想が実現できるか否か、現時点ではまったく見通しがきかない状況にある。
もちろん大阪市民にとって、江田氏は極めて遠い存在だ。大阪市民にとって維新の党とは、イコール橋下徹大阪市長ということにほかならない。よって、仮に江田氏を直撃するスキャンダルが表面化したとしても、住民投票にはさほど影響を及ぼさないのではないかという見方もできるが、筆者は決してそうは受け止めていない。
というのも、上西小百合議員に関する不祥事が連日マスコミで大きく報道された際に大阪市民が最も注目したのは、不祥事そのものよりも、橋下市長がこの問題にいかに対応するのかという点だったからだ。この時、橋下市長はすぐさま除籍という厳しい判断を下したことで、橋下支持派の理解を得ることに成功し、上西問題が及ぼすマイナスの影響を最小限に抑えることができたのだ。しかし、橋下市長が江田氏に対して同様に厳しい対応が取れるかどうかというと、事はそう単純ではないだろう。
場合によっては、旧・結いの党と旧・日本維新の会との間で、お家騒動が発生する可能性も高い。そのような事態になってしまえば、大阪都構想の実現も一気に遠のいていくことになるだろう。
果たして、住民投票の実施までに江田氏のスキャンダルが公になるのか、まさに要注目といえよう。
(文=須田慎一郎/経済ジャーナリスト)