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実際のところ、安倍首相の演説は400字詰めの原稿用紙に換算して17枚に及ぶが、直接的にTPPに触れたのは3枚弱だ。防衛問題に7枚分近くを割いたのと比べて、分量で大いに見劣りする。
日本に対する最大の関心事とは
加えて、USAトゥデイが指摘したように、農業分野はまだ農協改革に着手しただけの段階だ。株式会社の農業参入などの懸案を先送りした“やったふり改革”を材料に、「日本は、どんな改革からも逃げません」と大見栄を切っても迫力不足の感は否めない。他の分野でも、外国人労働者や移民の受け入れ拡大といった重要テーマに知らんふりを決め込み、女性に出産と仕事の両立を強いる女性活用策しか講じずに「人口減少を反転させるには、なんでもやるつもりです」と語るなど、大言壮語が過ぎた感がある。
経済紙のワシントン特派員をした筆者の経験からいえば、米国社会が日本に対して持つ関心となると、歴史認識や安全保障といった問題より経済的役割への期待のほうが圧倒的に高いのが実情だろう。安倍首相の歴史的な議会演説は、そのことを改めて明らかにするとともに、美辞麗句で米メディアの評価を得ることの難しさも浮き彫りにしたといえる。
結局のところ、日本に求められているのは中身のある経済政策である。まずは、その現実を冷静に受け止めなければならない。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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