受け取る年金を増やす方法…受給開始遅らせ最大1.4倍、年下配偶者いると損の恐れも
国民年金の免除期間
免除や納付猶予、学生納付特例を届け出ていた人は「追納制度」が利用できます。「追納制度」は、過去10年以内の免除期間をさかのぼって納めることが可能です。保険料を支払う余裕のないときは、必ず免除や納付猶予の申請をしておきましょう。
追納や後納をしたい場合は、年金事務所で申し込みを行います。最寄りの年金事務所は、日本年金機構のウェブサイトで検索できます。
年金を増やす方法2:繰り下げ受給
加入期間を長くする以外にも、年金を増やす方法があります。受給開始を遅くする「繰り下げ受給」ですね。年金は、本来65歳から受け取り始めますが、繰り下げ受給を選択すれば、66歳以降の希望する時点に受給開始を遅らせることができます(※)。
受給開始を1カ月遅らせるごとに金額は0.7%増え、上限の70歳まで遅らせると42%増額されます。増額された支給額は一生続きます。65歳以降も働いて収入を得られる、あるいは当面の生活費に余裕があれば、受給開始を遅らせると良いでしょう。
仮に受給開始を66歳に繰り下げた場合、受取総額は77歳10カ月で65歳受給開始の受取総額と同額に。上限の70歳まで繰り下げると、65歳受給開始の受取総額と同額になるのは81歳10カ月で、それ以降は差が広がっていきます(所得税、住民税を考慮しない場合)。17年の日本人の平均寿命は、女性が87.26歳、男性が81.09歳でした。女性は繰り下げ受給をするメリットがありそうです。
夫婦の場合は、夫と妻の受給開始時期をそれぞれ選ぶことができます。夫は65歳から受け取り、妻の年金は繰り下げるという方法も良いですね。また、国民年金と厚生年金は、それぞれ違う時期に繰り下げることもできます。
(※)遺族年金や障害年金、厚生年金保険などによる年金を受給している人など、繰り下げることができない場合もあります。
年下の配偶者がいる場合 厚生年金の繰り下げに注意
ただし、会社員として働き、年下の配偶者がいる場合は、厚生年金の繰り下げ受給に注意してください。厚生年金への加入期間が20年以上ある夫が65歳になったとき、65歳未満の妻がいれば、夫の年金に年額38万9800円が上乗せされる「加給年金」という制度があります。
この「加給年金」は、厚生年金の受給を開始しないと支給されません。