●手数料や株の売却で利益をあげても「銀行業の本道」にはまだ戻らず – 財経新聞(11月19日)
アベノミクスによる大胆な金融緩和や日銀の異次元緩和などの恩恵を受け、メガバンク3行の経営は好調だ。みずほでは、経常利益98.5%増加の5673億円、中間純利益は133.2%増の4297億円。純利益はみずほFG発足後最高になった。三菱UFJでは、経常利益49.2%増の8504億円、中間純利益は82.5%増加の5302億円、三井住友FGも経常利益8359億円、中間純利益52.8%増の5057億円。
みずほ好調の要因は、みずほ銀行における信託投信販売の手数料収入の増加や、みずほ証券の株式売買手数料の増加。また、三菱UFJと三井住友FGは、それぞれ多額の株式売却益が好調を後押しした。だが、本業である実質業務純利益を見ると、みずほ、三菱UFJでそれぞれ減少、三井住友FGでも微増という結果に。貸出金利の低下によって、利ざやが縮小したことが原因だ。預金を集め、融資を行い、利ざやを得るという「銀行業の本道」では儲からず、手数料収入や株式売却益で補う収益構造が浮かび上がってくる。
●身内で傷の舐め合い、終わらぬ「みずほ危機」 – 東洋経済オンライン(11月9日)
今回の事件について、みずほグループトップの佐藤康博氏は、「風土に大きな問題があった」と、曖昧な言葉でその原因を語った。
反社会勢力との取引を放置しただけでなく、金融庁に対して虚偽の説明をしていた同行。この結果、みずほグループ会長の塚本隆史氏は銀行会長を辞任し半年間の報酬返上、佐藤氏も半年間報酬返上する。これらを筆頭に、役員、OBなど50人以上が処分を受けることとなった。しかし、同行内部からは「経営陣による傷の舐め合い」という声が聞かれており、本記事では、「風土」ではなくその「ガバナンス」にこの事件の原因を見ている。
みずほでは、金融庁の求めに応じてみずほコーポレート銀行、みずほ銀行を統合し、ガバナンスの改善を計画したものの、事態はより深刻化。人事体系の一本化は、経営陣の事なかれ主義を醸成し、優秀な人材は外部へと流出。その結果、現場の正確な情報がトップに上がってこない構造となってしまった。今回の問題が解決していないにも関わらず「上層部には早くも楽観的なムードが漂」っており、幹部たちは、関連会社へのポストを求め、あいさつ回りにいそしんでいるという……。
みずほでは、11月より社外取締役のポストを設け、ガバナンス改革を実行している。しかし、この改革は本当に実を結ぶのだろうか? 金融庁幹部は「佐藤氏がやるべきことは、経営陣の大幅な若返りしかない」とショック療法を提案している。
●暴力団必要悪論はもはや不要だ!3メガバンクへ金融庁が一斉立ち入り検査 – 現代ビジネス(11月7日)
みずほ銀行の事件を受けて、金融庁がみずほ、三菱UFJ、三井住友の3メガバンクグループに一斉立ち入り検査を実施した。
全国で制定された暴力団排除条例などの流れを受け、00年代中盤から暴力団に対しては逆風が吹いており、構成員の数は縮小の一途。金融界でも暴力団排除条項を作成し、証券口座や銀行口座の開設に制限を加えている。しかし、彼らも巧妙化しており、社名の変更や養子縁組による姓名の変更などの手口を使用し反社認定をすり抜ける。さらに、不動産業、金融業といった暴力団と親和性のある業種では、企業を買収し、自らの資金を用いて業績を上げた信用で銀行からの融資を勝ち取るケースも見られている。
反社会的グループは巧妙な隠蔽工作を行っている。この立ち入り検査は、銀行のチェックという意味だけでなく、彼らの行動を捕捉し、追い詰めるためのノウハウを蓄積するチャンスとしても活用できるのだ。