NEW
神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

賃金4割ピンハネ!派遣業界のトンデモ実態 残業代&交通費なし、女性容姿ランキング…

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント
【この記事のキーワード】, ,

 また、派遣元企業(派遣業者)にとっても、当初は社会保険料負担もなし、有給休暇負担もなし(これらの違法はその後徐々に改められてきた)のうえに、人手さえ確保すれば無法状態で派遣先に送り込めたので、非常にオイシイ商売だったからです。交通費は今でも支払わないケースが多いです。

政府や厚労省とも癒着

 かつて、派遣元企業のマージン率は、労賃のピン(1割)ハネどころか、4~5割ハネで儲かったため、この悪の巣窟のような業界には、恥も外聞もなく一時は大企業までもが次々と参入したものなのでした。現在でもピンハネ率は30~40%に及び、開示が義務づけられたのに開示しない業者までが平気で存在します。

 なんと08年9月のリーマンショック前のピーク時には、7兆8000億円まで市場は拡大していたのです(13年時点で5兆1000億円まで縮小)。

 これまで労働者派遣業者(派遣元)は、約1万7600の一般事業者(仕事のある時だけ雇用して派遣する許可制の業者)と、約6万7600の特定事業者(常時雇用の労働者を派遣する届け出制の業者)、合計8万5200もの業者がひしめいていました。

 こんなに規模の小さな業者ばかりが多数存在するのでは、いったいどれだけのマッチング機能が果たせるのかは疑問ですが、現在も派遣労働者は増え続け、その数は119万人にまでなっています。14年の非正規雇用労働者1962万人(全雇用労働者の37.4%に相当し、契約社員、嘱託、パート、アルバイトなどが該当)のうち、6.1%を占める数なのです。

 当然ですが、これだけ大きな市場規模になると、大手業者は政界工作の政治献金も潤沢にバラまけますし、芸能人や政治家を招いての事業者パーティーも盛大に開け交遊人脈も築かれたりするわけです。もちろん、労働者派遣業界の団体役員には、当然ながら厚労省の役人も高額報酬での天下りを行っています。額に汗して働く派遣労働者こそが、「いい面の皮」という状況でしょう。

法令違反が横行

 この労働者派遣業者のコンプライアンス意識の低さには定評がありますが、かつて派遣労働者の社会保険料負担分を逃れてきた違法事例のほかにも、これまで問題となってきた事例を参考までに挙げておきましょう。

・派遣禁止業務への派遣(専門26業種逸脱、建設、港湾・運送などの適用除外業務など)
・許可なし・届出なしでの人材派遣業務、偽装請負(実態は派遣)
・二重(多重)派遣
・期間制限違反(3年を超える派遣)
・派遣先への派遣労働者の履歴書提示
・事前面接(会社訪問と称する)
・女子の容姿にランキングをつけ派遣先に提示して選ばせる
・「装備費」「データ管理費」などの名目による賃金ピンハネ
・割増残業代の不払い
・備品の自腹購入の強要
・無給早出出勤の強要
・派遣先管理者によるセクハラ・パワハラの放置

賃金4割ピンハネ!派遣業界のトンデモ実態 残業代&交通費なし、女性容姿ランキング…のページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!