「考えます」
「上(決裁者)に確認します」
といった一言は、すべての営業マンにとってまさに「天敵」だろう。この言葉が出たらもう、その日のうちに契約にこぎつけることが難しくなるからだ。
『即決営業』(サンマーク出版刊)は、顧客にこれらの「先延ばし」を許さずに、その場で契約を勝ち取るという、アグレッシブな営業スキルを指南する一冊。
今回は著者の堀口龍介氏に、このスキルの前提となる考え方と、契約を取るために営業マンが顧客と築くべき関係性についてお話を聞いた。
目指すべきは「顧客に対して下手に出ない営業マン」。いったいどうすればそうなれるのだろうか。
■ペコペコしない、下手に出ない「強い営業マン」になる方法
――本書では、勝負のタイミングで顧客に決断を先延ばしさせないためのスキルが多く取り上げられていますが、実践すれば売れるだろうと思う一方で、実践するには相当にタフなメンタリティが必要だろうと感じました。顧客に対して下手に出ずに、しっかりと要求を主張できるメンタルはどのようにすれば手に入るのでしょうか。
堀口:営業マン自身が「話の前提」を理解することです。まず、営業マンの基本的な仕事は、「無料説明」です。「無料説明」とは、お客様に自社の商品を説明しに行くことです。ただ、お客様側から見れば、この「無料説明」は「無料」なのですが、我々営業側から見れば「無料」ではありません。人件費や交通費、販促資料にもお金がかかっているわけです。お金と時間をかけて、相手の悩み事の解決策を話しに行く。これが我々営業側から見た場合の「無料説明」です。
そして、この「無料説明」の「前提」が、「話を聞いて、もし気に入ったら契約してね」というものです。大げさに言えば「あなたの悩みを解決するための話を無料でしてあげます。ただし、気に入った場合は契約してね」というのが、「無料説明」の「前提」なんです。
ですので、この「前提」からすれば、「お客様は話を聞いたからには、答えを出さなきゃダメ」ということになります。
もちろん、話を聞いてみて、商品やサービス内容が気に入らない場合は断ってもらっても構いません。欲しくないものを買う必要はありませんから。ただ、「考えます」は答えじゃないという認識を、営業マンの皆さんに持っていただきたいのです。
――確かに、顧客側は営業マンの目的が「売ること」だというのを忘れがちです。
堀口:今お話したことを理解して、「大義名分」として持っていられるようになると、営業マンは強くなりますし、契約を取れる営業マンのオーラが出てきます。
そうなると、お客様に「考えます」と言われた時に「何言ってるの?」という雰囲気を出せるようになるんですよ。「納得できない」という雰囲気です。これが大事なんです。「無料説明の前提」が理解できていない営業マンは、「考えます」と言われると、困った顔をする。こうなるともうお客様より下になってしまいます。
――「考えさせて」といって契約を先延ばしにするというのは、商談の場ではよく起こりうることだと思います。この先延ばしはいかなる場合でも拒否するべきなのでしょうか。「即決」というスタイルをどこまで貫くべきか、という点をお聞きしたいです。
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