大学にはどのくらいの種類の学科があるかご存じだろうか。
文部科学省の「学校基本調査」(2016年度)の学科系統分類表によれば、2976もの学科が掲載されている。
それだけ多様化し、細分化されているということだ。
これだけ多いと受験生はどの学科を選べばいいのか迷ってしまう。
一体この学科では何を学べて、どのように専門性を活かすことができるのか知ることができれば、自分の将来を考える大きなきっかけになるはずだ。
そして、そのときに参考にしたいのが『大学の学科図鑑』(石渡嶺司著、SBクリエイティブ刊)である。
本書では、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が、伝統ある定番の学科から新進気鋭の学科まで、その実態と卒業後の進路を、学費・取得資格、検定、進路、職先といったお役立ち情報とともに解説。代表的な70学科+αを掲載し、イラストレーターのこきりみき氏とむらいっち氏が描いた、学科を擬人化した70人のキャラクターが登場する。
■日本を代表する文化「マンガ」を専門に学ぶなら
今や日本の文化となったマンガだが、大学でもマンガを学ぶことができる。
2000年に京都精華大学が開設(2006年に学部昇格)したのを皮切りに、東京工芸大学、京都造形芸術大学、神戸芸術工科大学の4校がマンガを冠する学科を設置。ほかにマンガコースを含めれば、マンガを学べる大学は多くなってきた。
開設当初は、一線で活躍するマンガ家をそれほど輩出できなかったことへの批判が強かったが、少しずつマンガ家となる卒業生が増え、一定の成果が出てきたと本書。
卒業生の3割程度がプロのマンガ家を目指しているというが、マンガ家にならなかった卒業生は、どのような業界が進路になっているのか。民間企業だと、ゲーム、アニメ、IT、広告、出版、印刷などの業種が人気、かつ就職者も多いというデータがある。
就職先は大企業から中小企業まで幅広く、作画能力、デザイン能力を評価されて、機械やアパレルメーカーにも就職実績がある。
■マンガやライトノベルの題材にもなった「農学」
最近では、マンガやライトノベルの題材としても取り上げられることが多い農学部。『もやしもん』は、農学部生の間で人気が高いマンガだ。
農学科を設置しているのは、東京農業大学、明治大学、新潟大学の3校のみ。他に、応用生物学科、生物環境科学科など、農学分野の学科名は各校とも少しずつ違うが、農学系に所属する学科であれば授業内容はだいたい同じだという。
進路については、国立大学では大学院進学者が多い。私立大では1~2割程度。卒業生のほとんどは就職しており、地方公務員、食品関連業界、教員などの職種が目立つ。家業を継ぐ卒業生も2割ほどいる。
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その学科で何を学べるのか。どんな就職先があるのか。今まで以上に細分化されている学科の中から受験する大学を決めるためには、大学のパンフレットやホームページだけでなく、さまざまな情報を得ることが重要。
本書は、受験生の学部学科選びの参考となる1冊となるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。