「男の中の男」とリスペクトされる元プロレスラーの天龍源一郎氏。2015年11月に、オカダカズチカ選手とのシングルマッチを最後にプロレスと大相撲、合わせて52年の格闘技生活に幕を閉じた名プロレスラーだ。
近年では、滑舌の悪いハスキーボイスの天龍氏の活躍を、バラエティ番組などで観ることも多い。
そんな天龍氏が人生相談に答えてくれる一冊が『天龍源一郎の世界一滑舌の悪い人生相談』(天龍源一郎著、白夜書房刊)だ。本書は、月刊誌「BUBKA」に連載された「天龍源一郎の人生相談 龍魂一答」をまとめたもの。仕事、人間関係、生き方、恋愛、家族などの悩みに、天龍氏が答える。
■男らしさとは何か? 天龍源一郎の回答は
「男らしさって何でしょうか?」という33歳の男性の質問に、「男の中の男」の天龍氏は、「周囲の戯言とか雑音に惑わされないっていうのが男なんだよ。でも男らしさ=自己満足ちゅうのは心得ておかないといけないよ」と答えている。
そんな天龍氏が男らしく思うのは、元横綱の北の富士さん。北の富士さんが銀座で飲んでいても、横綱は有名だから勘定は結構です、とお店に言われていた。その後、北の富士さんの引退相撲の売上で銀座の店にそのツケを全額支払ったという。
自分に残ったお金はわずか。その話を聞いた天龍氏は素直に「カッコイイなあ」と思ったそうだ。
そして、最後に「男らしさって難しいから、男らしくない奴を見て反面教師にするのもひとつのテだな」とアドバイスを送っている。
また、昨年は日大アメフト部など、スポーツにおける指導について問題になることが多かった。そこで「スポーツの指導における”愛のある厳しさ”とは何でしょうか?」という質問もされている。
この質問に対しては、「スポーツって厳しくする時は厳しくしなきゃいけないこともあるんだよ。これがない限り頂点は超えられない」と天龍氏。
「厳しさは必要悪だ」とあえて言おうとする天龍氏。そして、愛のある厳しさというのは後々、相手が心の中でどういう風に咀嚼していったか、ということでしかないと述べる。両者の関係性がどこまで築けているか、ということなのだろう。
また、過去の風習にとらわれず、「今はこうしちゃいけない」と世の中の風潮を取り入れることができているか。指導者として、このスタンスが大事なのだ。
力士として、プロレスラーとして、長く第一線で活躍し続けてきた中で栄光も挫折も知る天龍氏の言葉の数々からプロレスファンならずとも、生きる力をもらえるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。