今から約1000年前。平安時代の男子たちも、現在の男子と同じように、モテるために、そして皆からリスペクトされるために努力をしていた。
そんな平安男子のライフスタイルを紹介する一冊が『平安男子の元気な!生活』(川村裕子著、岩波書店刊)だ。
本書では、1000年前の平安男子たちが何を食べ、どんな趣味を持ち、どんなビジネスライフを送っていたのか、生活や恋愛・結婚事情など、彼らの生活の中にある心を紹介。平安時代に実在し、日記を残している平安貴族の藤原行成の生活を中心に解説している。
平安時代の男子たちの「出世」事情とは?
まずは平安男子の仕事事情から。当時の社会は、第一にどんな家柄に生まれるかが重要だった。父が大臣の家に生まれた男子は、だいたい五位あたりからスタートし、出世も早いエリートコースに乗れた。ただし、親が偉い一族でも、兄弟や従兄弟の間でのステイタスに大きな差が出るという。
そのような社会でのキャリアアップの秘訣は、経済力でも実力でもなく、奥さんと娘だ。彼女たちが彼らの社会的立場を支えていたからだ。
平安男子の成功のカギは、自分の娘をミカド(天皇)と結婚させること。そして、自分の娘が帝の男子を産むと、この男子は皇子さまになる。もしこの皇子さまがミカドになれば、自分はミカドの祖父になり、摂政、関白という特別なポストについて政治を動かすことができる。摂政、関白になることは、平安男子にとって、究極の夢だったのだ。
平安男子たちの恋のきっかけは?
では、平安男子の婚活事情はどうだったのか。
まずはどんな出会いをしていたのかを読んでいこう。12~16歳で、現代の成人式にあたる元服をした平安男子だが、女子と顔を合わすことができない。平安女子はずっと家にいて、滅多に人前に姿を表すことをしなかったからだ。
では、どのように恋をしたのかというと、暖簾にうつる女子の「影」や「あそこの家には可愛い子がいるらしいぞ」という「ウワサ」がきっかけだった。
そのきっかけから、彼らはたくさんラブレターを送り、何度も手紙のやりとりをして仲を深めていく。ただし、女子の親にOKしてもらえないと結婚まで至らない。この時代は男子がお婿さんに入る結婚のスタイルだったので、経済的な面倒も女子の家の方でみてくれていたからだ。
そのため、どんなお婿さんかチェックが入るし、逆に、平安男子の方も、結婚を申し込むまでに、女子の家の様子や経済状態を調べるというリアルな一面があったという。
◇
本書を読むと、平安男子たちも現在と同じように、仕事も恋も趣味も楽しむ生活をしていたのがわかる。古典の勉強をしたい場合も、本書から平安男子のライフスタイルを知ることで、より身近に、楽しく勉強ができるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。