・飼い主は、自分が主人であり、ボスであることを犬に認めさせなければいけないため、「引っ張りっこ」の遊びは、最後には飼い主が必ず勝って、優位性や支配関係を示す。
・しっぽを振っていたら、犬は嬉しい。
今犬を飼っている人、犬が好きな人。これから飼いたい人は、犬の飼い方についてこんな凝り固まった常識を持っていないだろうか。
これらは古い常識や誤った定説だ。現在では犬は人に対して上下関係を求めていないし、飼い主は自分の優位性を押し付けてはいけない、ということが動物行動学の世界では常識になっている。犬も人も楽しく幸せに暮らすためにも、飼い主が最新の知見に基づいた犬の飼い方、しつけ方を知っておくべきだろう。
人間と犬のあるべき関係性は変わってきている!
『犬にウケる飼い方』(鹿野正顕著、ワニブックス刊)では、人と犬の関係学の分野で博士号を取得し、スタディ・ドッグ・スクール代表の鹿野正顕氏が、飼い主が生活を楽しみ、犬が本当に喜んでくれる飼い方を科学的裏づけに基づき紹介する。
飼い主というのは、犬にとって上位にいるボスではなく、自分を擁護してくれる母親的存在で、人と犬の関係は母子関係に似ているという考え方が現在では定着している。そのため、かつてよくいわれていたような「序列関係を示し、下位の犬に服従させる」という接し方は間違っているということになる。しつけの考え方も昔とは随分変わっているのだ。
この新しい関係性について、犬を飼っていると。ぬいぐるみなどのおもちゃを噛んで飼い主とやる「引っ張りっこ」をして遊ぶことは多い。かつては飼い主の優位性を示すために、「最後は飼い主が勝っておもちゃを取り上げるべき」とされていた。
しかし、本来「引っ張りっこ」は野生での「獲物の獲得」がもとになっている。犬にとっては生きていくために必要な狩猟本能を刺激する遊びなのだ。そのため、「頑張れば自分のものになる」という達成感や成功体験を味わわせることも犬にとって大切なこと。狩猟が成功した満足感を知ると、自分でおもちゃを持ってくるようになる。
いつも飼い主に取られてしまうと、食べ物を得たときも「取られるのではないか」と不安になったり、好みのものを隠したり、飼い主に対してビクビクするようになることもある。
また、「犬がしっぽを振るのは嬉しいときのサイン」という広く知られている常識も変わってきている。犬は興奮するとしっぽを振るため、喜んでいるときも振るし、恐怖を感じていてもしっぽを振るようである。
犬の感情を知りたかったら、耳が立っているか伏せているか、上体は普通に起きているか、低く屈めているかなど、ボディランゲージで感情を読み取る必要がある。どんな感情のときに、どのように体であらわしているのか、飼い主ならば把握できるようにしておいた方がいいかもしれない。
人間の常識で接していると、愛犬に嫌われてしまう。そんなことにならないためにも、古い認識を改め、新しい情報を手に入れ、犬にウケる飼い方、接し方を本書から学んではどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。