ビジネスジャーナル > キャリアニュース > 退職代行サービスが活況  > 3ページ目
NEW

退職代行サービスが活況、退職の面倒さゼロで翌日から出社不要…企業側にもメリット

文=A4studio

退職代行サービスは、現在の日本に生まれるべくして生まれた

 退職代行サービスは利用者本人だけでなく、会社側にも便利な側面があるようだが、これによって不利益を被る人が出てきてしまうことも忘れてはならないだろう。

「突然辞めてしまった従業員の仕事を、引き継ぎ書も残されていない状態でサポートしなくてはいけないのは、その従業員の同僚です。同僚からすれば、なぜ本人に代わって電話やメールをしただけの退職代行サービス会社がお金を受け取るのか、むしろ自分にお金を支払ってくれ、と不満に思うことでしょう。

 それにもかかわらず退職代行というものが拡大していったひとつの理由は、人材紹介会社がサービスの利用を推薦したからだといわれています。せっかく顧客の転職先が決まっても、職場の引き止めが厳しくて退職できないようだと人材紹介会社の売り上げは立たないので、無理もありません。

 とはいえ、先述したように、退職代行サービスは非弁行為にあたるのかどうか極めてグレーだという懸念があります。しかもこのサービスは、退職希望者のキャリアの相談に乗ってあげるという点で、本来はキャリアカウンセリングの世界の話。弁護士やキャリアカウンセラーの資格を持たない人がサービスを提供しているという現状を放置すれば、退職代行に限らず、あらゆるサービスが無資格でも成り立ってしまうのです。

 ですから行政も、これだけ退職代行サービスの利用件数が増えてくると社会に影響を及ぼしかねないということで、調査に動き出しています。将来的には、サービスが規制される可能性もあるのではないでしょうか」(同)

 そんな退職代行サービスについて秋山氏は、「このサービスにニーズがあるということが一番の問題」だと語る。

「変な言い方になりますが、退職代行サービスは自分で声を変えて『私、退職代行サービスの者です』と会社に電話をかけるのと、やっていることは一緒です。もし電話ではなくてメールなら、送信ボタンを自分で押すか、他人に押してもらうかの違いでしかありません。

 そんなサービスが常態化しつつある今の日本では、退職したいのに無理に引き止められてしまってストレスを感じていたり、仕事が全然うまくいっていないのに我慢していたりするビジネスパーソンが大勢いて、それに会社が気付けていないということなのでしょう。退職代行サービスは法的に怪しい部分があるのも確かですが、こんなにも多くの方がサービスを利用したがっているという現実こそ、何とか解決しなくてはいけないのだと思います」(同)

 退職代行サービスは、素直に「辞めたい」と切り出せないビジネスパーソンの弱みにつけこんだ商売だという見方もできそうだが、そう簡単に白黒つけられるものでもないようだ。秋山氏が指摘するような社会全体の課題を浮き彫りにしたことが、退職代行サービスの本当の功績なのかもしれない。
(文=A4studio)

退職代行サービスが活況、退職の面倒さゼロで翌日から出社不要…企業側にもメリットのページです。ビジネスジャーナルは、キャリア、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!