歴史は人によってつくられる。
その歴史に名を残す偉人も人だ。ある国から見ればすごい人ても、別の国から見るとやばい人になることもある。成功もすれば、時には失敗もし、かっこいい一面もあれば、情けない一面も持っていたりする。
「すごい」と「やばい」は表裏一体だ。
『東大名誉教授がおしえる やばい世界史』(木村凌二監修、滝乃みわこ執筆、和田ラヂヲイラスト、亀マンガ、ダイヤモンド社刊)は、「人」に焦点を当て、イラストとマンガを交えながら、世界史を楽しみながら学ことができる一冊だ。
コロンブスは「探検家」ではなく「商人」だった?
大航海でアメリカに到達した探検家のコロンブス。インドや黄金の国ジパングについて本で読み、さらに「地球は丸い」ことを知る。
当時、「地球は平面」と考えられていたため、アジアへ行くには陸を東に進むしかなかった。しかし、コロンブスは「船で西に進めばアジアに行ける」と考え、「航海のお金を出してくれたら、アジアの黄金やスパイスの権利を差し上げます」と各国に提案。その結果、スペイン王家のスポンサーをゲットする。
なお、スペイン王家との契約で、コロンブスは「発見された土地から得た利益の10%をもらえる」ことになっていたといい、彼の商人としての一面もうかがえる。
そして、約70日間の航海を経て、新大陸アメリカに辿り着くのだが、コロンブス自身は死ぬまでそこをインドだと思い込んでいたという。そして、先住民をインドの人=インディオと呼び、「黄金の国ジパングも近い」と勘違いしていた。
また、先住民たちは船が座礁したコロンブスを助けてくれたが、コロンブスはその恩を仇で返している。航海に出たのも「未開の国から黄金やスパイスを奪って大金持ちになる」のが目的であり、実は探検家というより、商人タイプの人だったのだ。
部下を認めず喧嘩に発展 発明王エジソンの敗北
発明王として電灯や映写機などを次々と事業化した発明家のエジソン。
1日16時間労働で、生涯に1300点以上の発明や改良をした。ただ、部下の才能をつぶすために大人気ない電流バトルを繰り広げたこともある。
エジソンの電灯会社に入社した天才技術者のテスラは、「エジソンさんの直流電気より、交流電気の方が遠くまで電流を送れる」と主張する。しかし、エジソンはそれを認めず、テスラは去っていってしまった。
このことがきっかけで、電流バトルが勃発。エジソンは交流を使った発電機で犬や猫、像までも助手に殺させ、「交流は危険だ!」とネガティブキャンペーンを展開するのである。しかし、テスラは自分の体に100万ボルトの交流を通電させ、安全性を証明。
発電技術には交流が採用され、エジソンは完敗する。「発明王」と言われるエジソンにも、こんな大人気ないエピソードがあるのだ。
人から歴史を見ると、どんな偉人であっても「すごい」と「やばい」一面がそれぞれある。そういった人間味から親近感が湧くはず。また、世界史の流れもマンガでさらっと読める。偉人たちのエピソードを読みながら楽しく世界史を学べる一冊だ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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