コロナ禍で外出を控え、家にいる時間が増えたことで、これまで気づかなかった夫や妻の一面に気づいた人は多いかもしれない。優しさや思いやりといったいい面が見えたならすばらしいことだが、現実はそればかりではない。
何かの拍子にケンカをした時の暴言や、ストレスがかかった状況での態度などから「モラハラ夫」「モラハラ妻」としての気質が明らかになることも。相手の言動が原因で一緒にいるのが辛いと感じたら「モラハラ」について考えてみるべきだろう。
「男は理性的、女は感情的」と言っていた夫が離婚では感情的になる
『私、夫が嫌いです ~モラ夫バスターが教える“なぜかツライ”関係から抜け出す方法』(大貫憲介著、榎本まみイラスト、日本法令刊)はモラハラ夫の特徴と彼らが生まれる背景、辛い夫婦関係から抜け出す方法について解説していく。妻が夫に行うこともあるモラハラだが、本書では夫が行うモラハラに焦点を当てている。
弁護士として多くの離婚案件に携わってきた著者によると、モラハラ夫には特有の認知の歪みが見られるという。その一つが「男は理性的、女は感情的」というもの。これは一昔前までよく聞かれたステレオタイプなジェンダー観だが、近年はあまり聞かれなくなった。モラハラ夫はこうした古い価値観をいまだに持っていることが多いのだ。
もちろん、このステレオタイプなジェンダー観に真実性はない。離婚案件では夫が妻に対して「誰のおかげで食えると思ってるんだ」「出て行け」と怒鳴る事案が少なくないという。とても「男は理性的」などとは言えないのだ。
「あいつが俺を怒らせるのが悪い」という他責性
また、夫婦関係に問題があったとしても、モラハラ夫の方は問題があること自体理解していないことも多い。弁護士との面談で「今までよくしてやった」「(妻が)なぜ出ていったのかわからない」と真顔で言うこともしばしばだという。「よくしてやった」という発言からは夫側の傲慢さがうかがえるし、そもそも相手が「よくしてもらった」と思っているかもわからない。これも認知の歪みの一つである。
「あいつが俺を怒らせるのが悪い」という他責性もまた、モラハラ夫の認知の歪みとしてあげられるという。妻が夫の言動を怖がっていたとしても、彼らが自分を顧みることはなく「あいつの精神が弱い」「あいつは頭がおかしい」とあくまでモラハラの原因は相手にあるというスタンスをとるのが特徴だ。これもまた「よくしてやっているのに裏切られた」という思いが根本にあるのかもしれない。
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モラハラ夫については「なぜそんな男と結婚したのか」という疑問も浮かぶが、結婚前は優しかったのに結婚した途端に変わる男性もいれば、会社での昇進がきっかけで家庭内でのモラハラが始まるケースもある。モラハラをする男性を見分けるのは難しい。
夫が怖い。
いつも妻である自分だけが我慢をしている。
夫を好きでいられなくなってきた。
こんな感覚があるなら、本書はその苦しみの原因を知る手がかりになるはずだ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。