商談や会議で相手に納得してもらえなかったり、伝えた内容を相手に理解してもらえても希望通りに受け入れてもらえない。
こんなとき、どうすれば相手を動かすことができるのか。
その答えは、自分の向かいたい方向に相手を巻き込むことだ。相手を心強い応援団にして、一緒に行動してもらうのである。伝えるというよりも「巻き込む」という発想が重要だ。
『巻込み力 国内外の超一流500人以上から学んだ必ず人を動かす伝え方』(下矢一良著、Gakken刊)は、500人を超す超一流のビジネスパーソンと直接対話し、延べ7万通以上のプレスリリースを通して習得した「巻込み力」という伝え方を解説した一冊だ。
■巻込み力の3つの要素とは
「巻込み力」は大きく分けて「ストーリー」「資料」「体当たり」の3つの要素によって構成されている。
1.ストーリー
一つ目のストーリーを語る技術は、巻込み力を発揮するための最も重要な要素だ。
人を動かすには「何を言うか」「どう伝えるか」ではなく、「誰が言うか」が大切なポイント。最初に自分のストーリーをパターンに沿って設定し、そのストーリーに沿って自分自身を伝えることで、巻込み力を発揮できるという。
2.資料
二つ目の技術は資料のつくり方。具体的には、ストーリーを資料に落とし込むための技術である。
資料をつくることのメリットは二つ。一つは本番で勝負せずに済むこと。資料通りに進むので、瞬発力を鍛える必要はない。もう一つは、目の前にいない対象までも動かせることだ。
3.体当たり
三つ目は、危機を乗り越えるための技術「体当たり」。
大きなミスを犯してしまった際、失敗した理由ややむを得なかった事情を真正面から説明しても、言い訳をして逃げようとした印象を相手に与えてしまう。こんなときに危機を乗り越える最上の方法が「体当たり」だ。事実を基に誠実に、逃げることなく敗因を相手に伝える。そして、敗因を伝えるだけでなく、次の一手も併せて伝える。謝罪や挽回策は常に相手の期待値を上回るものでなければならない。
プライベートの場面では、「ストーリー」だけで成功してしまうことも多いが、「資料」は、会議、営業、発表など伝える難易度が高くなるときに使える。また、「体当たり」は、謝罪やクレーマーに対応する際に知っておくといい。
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多くの人々を巻き込んで成功してきた一流の起業家たちは、論理的な説明の仕方や滑舌の良い話し方ではなく、巻込み力の要素の一つである「ストーリー」の「自分自身のこと」を伝える技術を駆使していたからだという。
人を巻き込む技術を本書から学び、仕事やプライベートに活かしてみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。