(3)個性が大事
仕事においても個性を重視する「ゆとり社員」に驚きを隠せないという製造業社員からは、
「電話メモの字が読めないくらい汚いので、せめて読める字で書いてね、とお願いしたら、『これが俺なんです』と言われました」(製造業)
と呆れた様子を見せています。
(4)年長者と話すことに慣れていない
「最近の新入社員は特に基本的な言葉づかいができていません。ずっと“御社”と“弊社”を逆にしたまま話しているのに気付かないとか」(広告業界)という声も聞かれますが、入社間もない頃に言葉遣いを間違ってしまった経験は誰しも1度はあるもの。これくらいのレベルであれば、まだ可愛いものかもしれません。しかし、サービス業の模範ともいわれるホテル業社員は、「基本的なしつけの問題だと思うのですが、先輩に話しかけられているのに歩きながら聞くとか、説明しても『へー』とか『うんうん』とかいうばかりで、メモすら取らない新入社員をよく見かけます」と語り、どのレベルから社員教育をすべきなのか戸惑っているといいます。
●「ゆとり社員」は、厳しい世相の中で育ってきた世代
以上、「ゆとり社員」たちにまつわるエピソードを紹介してきましたが、今回話を聞いたビジネスパーソンの中からは、次のように少し違った見方も聞かれました。
「ここ数年の新人さんは、就職活動のときに内定取り消しに遭ったりしているので、保守的で真面目な人が多いように感じます。保守的で主張しないところがゆとり世代ともいえるかもしれません」(IT業界)
「営業活動が大変だとかでまともに昼も夜も食べず、結局会社の玄関前で倒れて、救急車を呼ぶことになった子がいました」(人材業界)
生まれた直後にバブル経済が崩壊し、日本の「失われた20年」の中で育ってきた彼らの世代。09年にはサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機が起き、11年には東日本大震災と、就職状況が一気に厳しくなった世代でもあります。そんな時代背景も影響しているのか、ゆとり世代には「受け身で真面目」「出された課題はそつなくこなす」という評価の声も多いようです。
イライラする感情はひとまず抑え、彼らの特徴を理解した上で“正しい取扱い方法”を身につけることにより、そんな「ゆとり社員」のパフォーマンスを上手く発揮させることができれば、職場の業績向上につながるかもしれません。
(文=降旗愛子/株式会社デファクトコミュニケーションズ)