大多数が管理職になれない時代、漏れた人のためのキャリア術?長い現役生活を充実させる
●モチベーションを維持する工夫を
それからもう一つ、筆者があくまで30代後半からのキャリアデザインにこだわる理由があります。筆者は、繁忙やITストレスといった環境面の理由よりも、モチベーションの喪失こそが、メンタルトラブルの大きな理由だと考えています。30代半ばでキャリアに白黒つけたうえで、勝ち上がれなかった社員を飼い殺しにするシステムは、非常に問題があるということです。
例えば、12ラウンド制のボクシングの試合で、4ラウンドが終わった時点で「君の判定負けは確定しているよ。でも、とりあえず最終ラウンドまで戦ってね」と言われたとしたら、その選手はやる気になるでしょうか? 恐らく、一発いいパンチを受けて膝をつけば、もう立ち上がる気力はないでしょう。彼が再び立ち上がれるようにするためには、最終ラウンドが終わるまで勝ち負けのわからない判定システムを導入するしかありません。良い人事制度というのも、必ずそうした流動性を担保するようにできているものです。
本来なら、組織内の処遇をもっと流動化して、序列が固定化することを防ぐ(=各人が一定のモチベーションを維持できるよう制度設計する)工夫が組織の側に必要です。しかし、残念ながらそういう改革は多くの企業では実現していないのが現状で、この点は自分で努力してモチベーションを維持する工夫をするしかありません。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)
※本稿は、城繁幸氏のメルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」から抜粋・編集したコンテンツです。
【筆者プロフィール】
ビジスパにて、メルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」を配信中。