レオパレス→オーナー&取引先“連鎖倒産”の最悪シナリオ…破綻していた「30年家賃保証」

レオパレス21本社(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 賃貸アパート大手のレオパレス21(以下、レオパレス)の施工不良問題が一向に収束する気配を見せない。法令違反が疑われる複数の不備が新たに発覚したことでレオパレスの信用は地に落ちるとともに、株価がストップ安を記録するなど経営にも大きなダメージを与えている。2月8日に発表されたレオパレスの2018年4~12月期連結決算は最終損益が439億円の赤字(前年同期は128億円の黒字)で、同期間の赤字額としては過去最大を記録した。

 東京商工リサーチの『「レオパレス21 国内取引状況」調査』によると、レオパレスの取引先総数は仕入先合計が2364社(重複除く)、販売先合計は306社(同)で、レオパレスグループと直接取引している1次仕入先(615社)のうち建設業が335社(構成比54.4%)と過半数を占めている。レオパレスと取引先の今後はどうなるのか。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏に話を聞いた。

レオパレスを襲う財務不安

――レオパレスの一連の問題について、どう見ていますか。

坂田芳博氏(以下、坂田) 通常であれば取引先への悪影響を注視するのですが、今回はオーナーや入居者などの個人にも影響を及ぼしている点に注目しています。たとえば、天井が耐火基準を満たしていない641棟のアパートに住む7782人に対し、レオパレスは「危険性がある」として来月末までの引っ越しを求めています。そして、その費用はレオパレスが負担するとしていますが、総額は不透明で財務面への影響が懸念されます。

 また、今は建設の需要が増しており現場は人手が不足しています。レオパレスは工務店側から足元を見られて、通常よりも高い補修工事費を要求される可能性もあるでしょう。さらに、レオパレスに不信感を抱き、受注自体を敬遠する工務店もあると予想されます。

――レオパレスの広報資料からは何が読み取れますか。

坂田 全棟調査のうち、調査優先物件対象の「ネイルシリーズ」の調査進捗率は99.01%。当初、補修工事は1月末までに完了する予定でしたが、1月28日時点で進捗率は32.5%と遅れています。913棟を調査し、「界壁不備なし」はわずか6棟でした。また、6シリーズの調査進捗率は90.93%。補修工事は10月末までに完了を目指すとしていますが、レオパレス関係者からは「難しいかもしれない」との声もあがっています。こちらは、1万4370棟を調査し「界壁不備なし」は1745棟でした。ネイルシリーズと6シリーズのいずれにも多くの不備が見られ、多すぎるという印象です。

 確かにいずれも調査進捗率は高いですが、これはあくまで調査優先物件が対象です。また、どの現場も業者の確保が困難であることから、補修工事がスムーズに進むかどうかはわかりません。補修が長引けば入居者への補償も必要になってくるため、財務的に耐えられるかというのがポイントになります。

 リリースによれば、18年12月末日の現金預金(連結)は892億円、自己資本(同)は1069億円、自己資本比率35.2%で十分な水準にあるとしています。しかし、今後は金融機関の対応も注目点になります。運転資金とは別に補修工事や引っ越し、家賃保証などの資金需要が発生しているため、レオパレスとしてはつなぎ資金を確保したい。しかし、借り入れを要請しても金融機関がリスクを考えて足踏みする可能性があります。そうなると、当然ながらキャッシュアウトで手持ちの現金がどんどん減っていくことになります。

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