資格最高峰の弁護士、公認会計士でさえ、就職難は続いているのに資格スクールは今日も資格の有効性を叫ぶ。そして、「資格は取ったけど」就職できない若者を量産し、就職にあぶれた資格保持者を激安賃金で非正規雇用する。一度入ったら抜け出せない(?)資格スクールの裏側に迫る。
「資格を取って稼げている人は、私の実感で1割程度。そこで、かつて資格を取るために通っていた学校に戻り、ファストフード店以下の労働条件で働かざるを得ない人がゴマンといます」
かつて大手資格予備校で講師を務めていた社会保険労務士の須田美貴さん(39歳)は、開口一番そう実態を語る。須田さんの勤めていた資格学校は、このような「資格は取ったけど食えないOB・OG」を実に2000人も雇用。といっても、正社員として一生面倒みてくれるワケもなく、「業務委託」として時給1000円ほどで講師の仕事が割り振られるだけ。それでも人気講師になればシメたもので、大半はろくろくお呼びも掛からず、「年1回だけしか講義させてもらえず、年収5000円の講師もいた」という。
資格を取れば、バラ色の人生が待ち受けていると匂わせ、その結果がコレ。ほかにも、資格学校には唖然とさせられるウラがある。
●合格祝賀会写真のウソ
資格予備校のパンフレットを見ると、真っ先に目に入るのが「合格祝賀会」の写真だ。そこには晴れ着など正装姿の男女が満面の笑みでギッシリ。「この学校、こんなにたくさんの合格者を出しているの?」とついソノ気になるが、騙されてはいけない。
「私が勤めていた資格学校は、その年の合格者だけではなく、以前の合格者も大勢招いていました。タダ酒が飲める上に男女の出会いもあるとなると、結構、集まるものなんです」(須田さん)
ヒドイ場合は、「就職者交流会」と銘打つことで、他校の生徒や独学者まで招いてしまうというから、油断ならない。
●講師が客引き!?
資格予備校は、生徒が集まらなければ潰れてしまう。だから、どこも生徒募集に躍起。中には生徒の合格率を上げてそれをウリに集客しようとするマトモな学校もあるが、そうではない学校も。
「講師に駅前でのパンフレット配布をさせるくらいは常識。それどころか、『名簿を渡すから、営業しろ、電話をかけまくれ』と命令されていました。しかも、報酬はゼロです」(同)
さらに、須田さんのいた予備校では社長自ら「生徒全員が合格したら、会社は潰れてしまう。不合格者がいるからやっていけるんだ」と語り、不合格者を“リピーター”にするために割引価格で囲い込むことも多々あったという。
●人気講師は口のウマさだけがウリ
難関資格ともなると、5年モノ、6年モノのリピーターもザラだ。そうまで受からないなら別の予備校に通ったほうがいい気もするが、そこにはまた予備校側の仕掛けがあるという。
「予備校には、口のウマさがウリの人気講師が必ずいます。彼ら彼女らは必ずしもいい講義をして、生徒の高い合格率を叩き出しているのではない。『いつやるの? 今でしょう~』の受験予備校の先生ではありませんが、ああした生徒の鼓舞の仕方がうまく、いつしか生徒は先生の虜となり、『おっかけ』と化していくのです」(須田さん)
まるで、自己啓発セミナーだ。
●恐怖の“ヒヨコ食い”の実態
いざ、資格試験に合格し、開業したとしても、すぐに客など付くはずがない。そこで用意されるのが、有資格者による「開業セミナー」だ。各種資格予備校もやっているが、中でも悪質なのが「開業講座専門の学校」だ。