ただのサラリーマンが半年でTOEIC885点になれる勉強法
●映画や英語ニュースなんか聞いたってムダ?
ーー中学レベルをクリアしたら、次はどうすればいいのですか?
杉村 実は中学3年間プラス高校1年生くらいの知識で、500点くらいは獲得できるんですよ。そのあとは、単語力とリスニングのトレーニングをします。本書で紹介している『DUO3.0』(アイシーピー/鈴木陽一)は単語集なのですが、例文形式になっているので、文章のパターンを覚えることもできます。
さらに付属のCDを聞けば、リスニングのトレーニングにもなる。TOEICのリスニングは、そんなに速くないので、あまり早口でしゃべる映画やCNNなんかを使っても、自分でわからなければ意味はないんですね。お経を聞いているようなもので、まったく身につかないと思います。この辺も、これまでのTOEICの勉強法の本には紹介されていないんですよ。
ーー具体的には、どのようなテキストを利用されたのですか?
杉村 本書でも紹介していますが、『カラー版 中学3年間の英語を10時間で復習する本』(中経出版)で中学英語を復習し、『DUO3.0』で単語力をつけ、あとは『TOEICテスト新公式問題集』 (国際ビジネスコミュニケーション協会)など、本書で紹介している教材で、本試験に向けたトレーニングをしたという感じです。
●勉強時間は1日1時間
ーー勉強時間はどれくらいでしたか?
杉村 そうですね。実際に勉強した時間は、通勤時間の暇つぶしで勉強しただけで、半年間、平均すると1日1時間くらいだったと思います。
ーー聞き流しのリスニング専用教材なんかは、活用されましたか?
杉村 お経に聞こえてしまうようでしたら、TOEICの勉強ということであれば、あまり意味はないと思います。なによりも勉強がつらくなってしまうのではないでしょうか。英語が大好きな人であれば、耐えられると思いますが……。
ーーTOEICの勉強で失敗する人が陥りやすい罠は?
杉村 世の中に広まっているTOEICの勉強法というのは、すごく英語が好きで上手な人が、結構英語が好きでそこそこできる人に対して言っていることが多い。それを初心者が真に受けると、できないし、つらいし、伸びないし、何もいいことはないと思います。別に間違ったことは言っていないのですが、それが自分に向いているかどうかということは、判断してやったほうがいいと思います。
その判断材料というのが、初心者にはない。だから、挫折してしまう人が多いのです。あとは、TOEICテストのトレーニングをこなすことですね。これができていないと、十分な力を発揮することができない。英語を勉強するだけではダメなんですよ。
●時間配分と設問先読みのトレーニングがカギ
ーー今おっしゃられたTOEICテストのトレーニングとは、具体的にどのようなものですか?
杉村 どんな試験もそうかもしれませんが、特にTOEICテストは時間がないので、時間配分が重要です。私は公式問題集を何回かやりながら、時間配分のトレーニングをしました。あとは、テクニック的なことですが、リスニングの設問の先読みをするようなトレーニングもしましたね。聞いていても、度忘れしてしまうことってあるじゃないですか? 意外と聞き逃してしまうんですよ。何時なのか、何曜日なのか、季節を聞いているのかとか。だから設問を先読みして、これを質問するのねと確認しておいて、音が出てきたら、「これね」とマークする。そういったテストのトレーニングは、実は大切なことなのです。
ーーTOEICで高得点を獲得されて、何か変わったことはありますか?
杉村 仕事で英語の資料を見る時の心理的なハードルが下がったということと、時間もかからなくなりました。あとは海外通販サイトで何か買った時、商品が来ないからということで、クレームのメールを入れるのも楽になりましたね(笑)。でも、外人がものすごい早口で話しているのは、まだ聞き取れないこともありますよ。
ーー最後に、単語を覚える効果的な方法をご教授ください。
杉村 ハードなやり方としては、単語カードに書いて、厳選された苦手な単語集を作って、繰り返し見るようにするのがいいと思います。また、ルー大柴さんではないですが、サラリーマンが仕事で使うカタカナ英語を日常会話に挿入するという方法です。「オポチュニティ」「ソリューション」「モチベーション」みたいな単語を、日常的な会話に挿入する。恥ずかしがらずに、カタカナ英語を積極的に会話に挿入して使えるというのは、サラリーマンのアドバンテージですよ。結構ビジネスっぽい、日本語の中に出てくるシンボリックな単語は、TOEICの中でも重要な言葉として出てきますから。