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新体制はガバナンス不全

東電の社外取締役は「経産省のスパイ」!?

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相変わらずの垂れ流し経営にはうんざりですわ。
(「Thinkstock」より)

 東京電力は先月、広瀬直己常務が新社長に昇格し、新会長には原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長が就任することを発表した。現行の16人から11人に削減された取締役の内、7人は社外取締役だという。今月27日の株主総会を経て正式に決定される見込みだが、東電関係者の間では「この体制で本当に再建できるのか」との声が出ている。

 東電再建への道筋が記されているのは、今年3月発表の「総合特別事業計画」。経営の透明化や合理化、取引の公平性を確保するなどの機構改革を掲げ、大幅なコスト削減を通して、2014年3月期の当期損益で1067億円の黒字化をめざす、としている。

 しかし「旧経営陣が打ち出したコスト削減の方針は、現場にはほとんど浸透していない」と指摘するのは、東電を長年取材してきた経済誌記者だ。とりわけ燃料調達において、東電のムダ使い体質は改まっていないという。

「東電は、火力発電に使用する燃料......なかでも石炭や天然ガスを相場よりも高く買っているのです。石炭に関しては、アメリカの相場の倍近い値段で買うこともあり、取引を仲介する商社にカモにされているといっていい。新しい調達ルートを探すなど、民間企業では当たり前の努力を怠っているのは明白です」(経済誌記者)

 事実、経済産業省の電気料金審査専門委員会は今月4日、火力発電に使用している燃料の調達価格が貿易統計と比較して2~6%ほど割高であると指摘。これに対し東電は「環境規制や灰の処分を考え、高品質な燃料を調達しているため」と、いかにも苦しい言い訳をしている。電気代の値上げを行っている最中だけに、東電のコスト意識の低さには批判が集まりそうだ。

 2年後の黒字化を掲げながらも、遅々として進まない現場改革。現状は新体制になっても変わらないのではないか――そう指摘するのは先の経済誌記者だ。

「東電のガバナンスがうまく機能しない原因の一つは、会長、社長とは別に、経営改革を取り仕切る実力者がいる、という権力の二重構造にあります。その実力者とは、今回社外取締役に就任する1人で、支援機構理事兼事務局長の嶋田隆氏です」

 経済産業省出身の嶋田氏は、かつては与謝野馨の秘書官を務めており、民主党・仙谷由人政調会長代行からの信頼も厚い。調整力の高さで知られ、東電と霞が関双方の意見をじっくりと聞くタイプとされるが、東電側は「経産省のスパイ」として嶋田氏への警戒心を隠さない。報道関係者の間では、嶋田氏のスキャンダルを狙って、東電側が探偵を雇ったとの話もまことしやかに流れている。