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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(7月第3週)

男性の10人に1人が精機能に問題アリ あなたも不妊症かも?

post_418.jpg(右)「週刊ダイヤモンド 7/21号」
(左)「週刊東洋経済 7/21号」二段目
経済の神学論争!? ダイヤモンドの激論企画

「週刊ダイヤモンド 7/21号」の大特集は『激論! 日本経済 答えはどこにあるのか?』。バブル崩壊後からの“失われた20年”で深刻化した経済迷走の「なぜ?」を論客対決で明らかにしようという試みだ。

『日本経済復活の処方箋はこれだ!』をテーマに、池田信夫アゴラ研究所所長と飯田泰之駒澤大学准教授。『財政再建優先か景気回復優先か』をテーマに、河野龍太郎BNPパリバ証券経済調査本部長と若田部昌澄早稲田大学大学院教授。 『金融政策でデフレ脱却できるか』をテーマに、池尾和人慶應義塾大学教授と武藤敏郎大和総研理事長。

 ……といった具合に、それぞれの議論の有名な論者が議論を交わしている。このほかにも『グローバル化の中で日本企業が生き残る条件』『社会保障は削減か充実か』『日本はTPPに参加すべきか』『経済学は実際の経済に役立つか』『脱原発を進めるべきか』といったテーマで議論がなされている。

 1990年代初頭のバブル景気崩壊以降、長期の景気低迷に入っている。経済学上、景気低迷の解決方法をめぐっては財政政策と金融政策という経済政策が議論される。財政政策とは、予算配分、財政出動、増減税、規制緩和といったもの。一方、金融政策とは中央銀行(日本で言えば日本銀行)が行う政策で、一定のインフレ(物価上昇)におさまるように通貨供給を行うものだ。この2つが、経済政策の両輪であり、双方を巧みにコントロールすれば経済は安定すると考えられてきている。

 日本で言えば、“失われた10年”というべき90年代は、経済への大きな重荷となっていたバブル崩壊による不良債権の処理が必要であったが、これを後回しにして、財政政策による財政出動を積極的に行い日本経済を支えた。ただし、この財政出動の結果として累積する債務残高が大きく膨らむこととなった。さらに、00年代後半にはリーマンショック後の景気対策としての財政出動もあって、借金は大きく膨らみ財政政策の限界が考えられるようになってきた。現時点で打つことができる財政政策は、増減税、規制緩和といったものしかない。  そこで浮上してきたのが、金融政策への期待だ。

 現在勢いが出てきているのが、金融政策のインフレターゲット有効派(リフレ派)だ。これは、米国の経済学者ポール・クルーグマンなどが提唱しているもので、中央銀行が市場に資金をより供給し、インフレのターゲットを示すことで「将来インフレになる(物の値段が上がる)から今のうちに買っておこう」という意識が高まり、景気がよくなるとする考え方だ(今回の特集でいえば飯田泰之駒澤大学准教授、若田部昌澄早稲田大学大学院教授がその立場だ)。

 ただし、金融政策にはそれほどの効果はない。中央銀行にはインフレターゲットの有効性を疑問視する経済学者は多い(今回の特集でいえば、池田信夫アゴラ研究所所長、河野龍太郎BNPパリバ証券経済調査本部長、池尾和人慶應義塾大学教授だ)。「00年代はゼロ金利どころか量的緩和政策で市場にお金をジャブジャブにしてきた。にもかかわらず、景気がよくなっていないのは、金融政策にそれほどの力がないためだ」と批判する。

 一方でリフレ派は経済学的には少数派なのだが、現在、デフレの日本経済をインフレにすれば、税収も増加し債務も軽減できることから、政治家もこの説に飛びつきはじめている。政党でいえば、リフレ派の高橋洋一氏がブレーンとなっている「みんなの党」がここにあてはまる。

 実は、今回の論客対決の多くは、この金融政策の問題について議論しているに過ぎない。リフレ派の学者は、金融政策が物足りないと主張している。リフレ派でない学者は、金融政策の効果は期待できずに、増減税、規制緩和といった財政政策を行うしかないという主張をしている。現実的には、大蔵省事務次官、日本銀行副総裁も務めた武藤敏郎大和総研理事長の「しかし、10年金利が1%の日本では結局、量的緩和以外に選択肢がない。少しは意味があることをやり続けるのは、理論的には議論があるかもしれないが、実務的には決して軽視すべきではない」といった発言が、現実的な答えになりそうだ。

 しかし、こうした議論は、経済学上のモデルをもとにした議論であって、複雑な要因がからみあう現在経済にどこまで有効なのかという疑問がつきまとう。クルーグマンも過去30~40年の経済学を「よく言って役に立たない、悪く言えば有害だ」と言い切っているほどだ。

 当サイトの記事、『岩瀬大輔(ライフネット生命副社長)・キュレーション第3回 岩瀬大輔「日銀は無関係!?円高要因は実需、輸出、ユーロ危機」(http://biz-journal.jp/2012/07/post_402.html)』では、「『日銀の緩和が十分でないからデフレが続いている』『いや十分な金融緩和を行ってきた、問題は実体経済だ』という経済学者間の議論がありますが、これはもはや神学論争に近いと思います。デフレの要因は複合的であり、どちらの主張が絶対的に正しいかということは実証できないのです」と指摘しているが、まさにこうした論客対決は宗教間対立でしかないのかもしれない。

 一般の汗水たらして働くビジネスマンからすれば、経済学の宗教は、どうでもいいから、まずは景気を良くしてくれ! 給料を上げてくれ! ということだろう。

現代の難問 不妊に迫った東洋経済

「週刊東洋経済 7/21号」の大特集は『不妊の原因、その半分は男性 みんな不妊に悩んでる』。世界中で患者数が拡大している不妊症。一般に、2年以上避妊なしで性交しても妊娠しない場合、不妊症と判断されており、どの国でも不妊症を抱えるカップルが10~15%の割合で存在するといわれている。

 しかも、日本の場合、晩婚化と晩産化が不妊を深刻化させている。「今、不妊治療を受けている人の約9割は、10年前に子どもを作ろうとしていれば、自然に妊娠できていたのではないか」と専門家が語っているほどだ。

 別の専門家は「生殖年齢の“定年”は今も江戸時代と変わらない。出産の適齢期は25~35歳だ」と話している。ところが、ある調査では、「36歳を境にして女性の妊娠力は低下する」という現実を知っている日本人は29.6%で、カナダの82.1%、英国の71.9%の半分以下と知識が不足しているのだ。

 現在、日本において不妊治療を行う病院・クリニック数は約600件。米国の500件を上回り世界一の数字になっている。体外受精、顕微授精などの高度生殖医療(ART)の治療件数でも日本は年間21.3万件と世界トップ。09年にはARTにより2.6万人の新生児が生まれた。今や「新生児の40人に1人は体外受精児」時代だ。

 不妊治療は巨大産業へと成長している。ARTにかかる費用を1回40万円として計算すると、それだけで市場規模は852億円。全体の規模は1000億円を超えると見られているという。少子化に悩む日本にとって今後ますます注目される分野になりそうだ。

 日本の特有の問題は「不妊をタブー視」し、「不妊は女性だけに原因がある」という偏見が強い点だ。しかし、実際には、WHO(世界保健機関)によると、不妊原因のうち、「男性のみ(に原因がある)」は24%にも上る。男女双方に原因がある場合を加えると、約半分のケースで男性が関係していることになる。「精子になんらかの問題がある人は10人に1人」と専門家は指摘するほどだ。  『PART1 精子はこうして作られる 男性不妊の原因はこれだ!』の不妊の原因ベスト3によれば、第1位は精子の数が少ない乏精子症、第2位は精液のなかに精子が見当たらない無精子症、第3位は精子を作る機能が低下している精子無力症だ。

 乏精子症は、長時間座っていたときに痛みがある場合、無精子症はいつの間にか陰嚢がはれた場合、精子無力症はおたふく風邪の経験がある場合に注意が必要だという。

 気になる男性は、奥さんと一緒に産婦人科を受診すべきだろう。その後、専門クリニックで検査という流れになるが、実際の検査時間は30分ほど、検査費用はおよそ1万5000円程度だ。

 特集では『あなたの精子を守るための10カ条』が紹介されているが、そのうち、ビジネスマンにとって重要なのは、「禁煙」、「ブリーフよりもトランクス」、「飲酒は適量に」といったものだ。また、熱に弱い精巣の温度を上げてしまう電車の座席で「膝上でノートPCを使うこと」はNGだという。

 専門家によれば、精子の質を上げるためには、ビタミンC、ビタミンEを摂取すること、色素リコピンに効果があるとされるトマトもよい効果がありそうだという。

 やはり規則正しい生活が精子形成にもプラス効果をもたらすようだ。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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