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年金を自分は運用する時代が到来

厚生年金制度が、将来廃止になるって!?

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定年してから困らぬよう今からしっかり運用。(「Thinkstock」より)
「年金は自分で運用」、「運用成績次第で老後の豊かさに格差が生まれる」。そんな時代がやってくる。1000億円以上の年金資金を"雲散霧消"させたAIJ投資顧問事件を契機に、厚生年金基金制度の見直しが進んでいる。

 民主党はAIJ問題発覚後、3月1日に財務金融部門の下に「年金積立金運用のあり方及びAIJ問題等検証ワーキングチーム」を設置。同ワーキングは4月24日に「AIJ問題再発防止のための中間報告」を取りまとめた。この中間報告では、厚生年金制度の将来的な廃止を強く打ち出している。

 これによると、大半の厚生年金基金では予定利率が5.5%に据え置かれており、予定利率の引き下げによる財政上の負担に耐えられないものも多い。それにも関わらず、市場実勢より非常に高く設定された予定利率を達成するために、無理な運用を強いられたことが、AIJ問題の遠因としてあげられると分析。この問題を放置しておくと新たな年金運用の失敗や年金財政の一層の悪化をもたらすことになる。一方で、現在の企業の経営環境や財政実態に照らせば、新たな企業負担を求めることでの制度改善は現実性が乏しいので、厚生年金基金制度は一定の経過期間終了後、「廃止」という方針を打ち出している。

 さらに、厚生年金基金の廃止にあたっては、厚生年金基金には①解散②代行資金を返済した上で確定拠出型年金ないし確定給付型年金に移行するかを選択させるべきとしている。

 これに平仄を合わせるように、政府の内閣官房国家戦略室は5月8日、「成長ファイナンス会議」の中間報告で確定拠出年金の拡充を盛り込んだ。確定拠出年金の拡充には、①家計による投信投資を通じた成長マネーの供給源②企業に対して年金制度の選択をより柔軟化して成長力を高める③世代間の不公平への対処に先鞭をつける―という狙いがあり、成長マネーの供給拡大の観点から制度拡充を図るべきであるとしている。

 また、年金制度改革の決定権を持つ厚生労働省は、3月14日に「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部」を発足させた。さらに、4月13日には「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」を設置、厚生年金基金等の企業年金のあり方について議論を行い、6月末には報告書をまとめる予定となっている。

 この有識者会議の議論の方向性も、すでに全体の約4割の代行部分に損失が発生している点から、厚生年金の解散にあたっては国への返済が義務付けられている積立金を減額するなど、基金が解散しやすくなる方向で検討が進んでいる。さらに、解散時に積み立て不足があった場合、基金に加入している企業が連帯責任で返済義務を負う制度の撤廃も検討されている。