アップル元代表、貧乏アジア弾丸ツアーにハマる?
アップルジャパン元代表取締役として、日本におけるiPhone、iPadなどのアップル旋風を主導した山元賢治氏。複数の外資系企業時代から現在に至るまで、世界中を渡り歩き、無数の企業、若者と接する中で山元氏の心に湧いてきた、「最高に素敵な国・日本」のビジネスパーソンに向け、今どうしても語りたいこととは?
前回(http://biz-journal.jp/2012/06/post_282.html)では、私が長年お世話になった米国企業の素晴らしい点に注目してみました。皆さんはどう感じられましたか? 意思決定の速さや、常にグローバル市場を意識してビジネスを推進している姿勢からは、学ぶべき点も多いですよね。
他国の悪い部分に目を留めない
もちろん、「個人主義すぎる」とか、「短期での利潤を追求しすぎでは?」など、日本人としては好きになりにくい面もあることは事実です。あえて私の連載では、他の国や地方の「好きになれない部分」には、あまりスポットを当てないで話を前に進めさせていただきます。
他人や他の国の悪い部分に目を留めて、悪口を言うことによって、自らを慰め、現状維持で十分だという気持ちになってほしくないからです。
それでは、今回の連載からはいよいよ“Go West”アジアに目を向けてみたいと思います。いろいろな書物ですでに紹介されていることを書き並べるのではなく、私が自分の目で見てきたことを中心に紹介させていただきます。
毎月アジアの国々を訪問
私は今年になって、毎月のようにアジアの国々を訪問するようになりました。ここ数年、講演やカウンセリングなどを通して、若者の皆さんに「Think Global」「Go Global」という話をしてきました。人口が減少し続け、高齢化が加速する日本市場だけを見ていたのでは、若者のエネルギーを爆発させる現場がないと感じているからです。
一方、自分の経歴を振り返ってみると、確かに外資系企業に約30年間勤め、海外を飛び回ってきましたが、やはり欧米中心だなと感じていました。中国には何度もビジネスで訪れていましたが、やはりアジア訪問はバリ島やプーケットなどのリゾート地が中心でした。
これからどんどん成長のスピードを上げてくるアジアやアフリカなどを、ほとんどビジネスで訪問していない自分では、若者たちに正しい方向性を示せないなと感じました。そこで「アジア弾丸ツアー」と自分で名付けて、いくつかのルールを作りました。そして毎月でも、アジアの国々を訪問してみようと計画を立てました。
イメージとしては、九州に出張するよりも2〜3倍遠いくらいのレベルに感じたいと考えました。時間的制約は当然ですが、出張にかかる経費も最小限でどの程度まで圧縮できるか試してみようと思いました。