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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第16回

大手新聞社長、公然と経費で愛人とドンペリに溺れ醜態をさらす

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「Thinkstock」より
【前回までのあらすじ】
ーー巨大新聞社・大都新聞社社長の松野弥介は、常宿にしている水天宮のホテルのスイートルームで、10年来の愛人である社長室の花井香也子との逢瀬を楽しんでいた。2人の会話はいつしか、2人が不倫を始めるきっかけとなった、10年前のパリ出張の話になった。この出張は、大都創立130年の記念事業である「大ルーブル展」の調印式に当時社長で現相談役の烏山凱忠が出席するため、当時常務だった松野と、社長室勤務の香也子がそれに同行したものだった。そして烏山は、その主張に愛人の秀香を“同伴”させていたのだったーー。

 香也子は身を任せ、唇を求め合った。しばらくして松野が抱きしめていた腕を緩めた。

 「そろそろ、ドンペリを開けて、祝杯しようよ」

 松野の肩に頭を埋めたままの香也子がうなずいた。松野は背中に手を回し、香也子をソファーに座り直させた。そして、ドンペリのボトルのコルク栓の留め金を覆っている銀紙を取り、丁寧に留め金を外し、コルク栓を押さえてゆっくりボトルを回した。

 「ポン」っとコルク栓を抜くと、炭酸の飛ぶ、気持ちいのいい音が室内に響いた。ボトルの中のシャンパンからは細かな泡とともに、シュワという音が立ち上った。松野はシャンパングラスを取り、自分の前に置き、香也子のほうを向いた。

 「香也ちゃん、グラスを取って。乾杯しよう」

 香也子がテーブルのグラスを取った。松野がグラスにドンペリを注いだ。シュワ、シュワと、グラスの中で無数の泡が湧き上がった。香也子はじっとそれを見つめていたが、白い泡が鎮まると、グラスをテーブルに置いた。

 「パパもグラスを取って」

 香也子はボトルを受け取ると、松野の取ったグラスにドンペリを注いだ。白い泡が消えるのを待って、2人はグラスを取り、軽く当てた。

 「乾杯」

 2人とも一気に飲み干した。

 「香也ちゃん、生ハムのオードブルとサンドイッチもあるから、少しつまんだら?」
 「今日は夕方、外でハンバーガーを食べたあと、社長室に居残って残業していたの。時間を見計らってきたでしょ。ゆっくり頂くわ。でも、その前に、もう少し飲みたいの」

 香也子はそう言うと、ボトルを取り、自分のグラスに注いだ。

 「パパも、もう一杯どう?」
 「いや、いいよ。それより……」

 松野は香也子の腰に手を回した。

 「待って。パパはもう大分飲んできたんでしょ。私も追い付きたいの。いいでしょ、ね」

 香也子は2杯目も一息に飲み干し、またボトルを取り上げ、今度はテーブルに置かれた松野のグラスと、自分のグラスにドンペリを注いだ。そして、ナイフやフォークを使わずに素手で白い皿から生ハムの乗ったメロンを取り、口に運んだ。

 「ドンペリもおいしいけど、生ハムもいいわね。パパもつまんだら?」
 「君の好物だったね。メロンと生ハム。だから頼んだんだよ」

 松野も素手で生ハムの乗ったメロンを取り上げた。香也子は皿を元の位置に戻すと、今度はサンドイッチをつまんだ。2切れ食べると、3杯目のドンペリを飲んだ。そして、4杯目を注いだ。

●経費で愛人と高級レストランで散財