大手新聞社長、公然と経費で愛人とドンペリに溺れ醜態をさらす
香也子は身を任せ、唇を求め合った。しばらくして松野が抱きしめていた腕を緩めた。
「そろそろ、ドンペリを開けて、祝杯しようよ」
松野の肩に頭を埋めたままの香也子がうなずいた。松野は背中に手を回し、香也子をソファーに座り直させた。そして、ドンペリのボトルのコルク栓の留め金を覆っている銀紙を取り、丁寧に留め金を外し、コルク栓を押さえてゆっくりボトルを回した。
「ポン」っとコルク栓を抜くと、炭酸の飛ぶ、気持ちいのいい音が室内に響いた。ボトルの中のシャンパンからは細かな泡とともに、シュワという音が立ち上った。松野はシャンパングラスを取り、自分の前に置き、香也子のほうを向いた。
「香也ちゃん、グラスを取って。乾杯しよう」
香也子がテーブルのグラスを取った。松野がグラスにドンペリを注いだ。シュワ、シュワと、グラスの中で無数の泡が湧き上がった。香也子はじっとそれを見つめていたが、白い泡が鎮まると、グラスをテーブルに置いた。
「パパもグラスを取って」
香也子はボトルを受け取ると、松野の取ったグラスにドンペリを注いだ。白い泡が消えるのを待って、2人はグラスを取り、軽く当てた。
「乾杯」
2人とも一気に飲み干した。
「香也ちゃん、生ハムのオードブルとサンドイッチもあるから、少しつまんだら?」
「今日は夕方、外でハンバーガーを食べたあと、社長室に居残って残業していたの。時間を見計らってきたでしょ。ゆっくり頂くわ。でも、その前に、もう少し飲みたいの」
香也子はそう言うと、ボトルを取り、自分のグラスに注いだ。
「パパも、もう一杯どう?」
「いや、いいよ。それより……」
松野は香也子の腰に手を回した。
「待って。パパはもう大分飲んできたんでしょ。私も追い付きたいの。いいでしょ、ね」
香也子は2杯目も一息に飲み干し、またボトルを取り上げ、今度はテーブルに置かれた松野のグラスと、自分のグラスにドンペリを注いだ。そして、ナイフやフォークを使わずに素手で白い皿から生ハムの乗ったメロンを取り、口に運んだ。
「ドンペリもおいしいけど、生ハムもいいわね。パパもつまんだら?」
「君の好物だったね。メロンと生ハム。だから頼んだんだよ」
松野も素手で生ハムの乗ったメロンを取り上げた。香也子は皿を元の位置に戻すと、今度はサンドイッチをつまんだ。2切れ食べると、3杯目のドンペリを飲んだ。そして、4杯目を注いだ。