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産革機構が“力む”Li電池業界再編、トヨタの不参加で弱者連合の懸念も

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「トヨタ自動車HP」より
 政府系ファンドの産業革新機構(以下、産革機構)が、国内のリチウムイオン電池業界の再編を計画している。1月25日付の読売新聞では、産革機構が電池事業売却を検討するソニーへの出資を検討。日産自動車とNECの合弁会社との統合案が有力と報じた。他の国内メーカーにも幅広く呼びかけており、「オールジャパン」の誕生も期待されるが、焦点ともいうべき存在がトヨタ自動車だ。動き方次第では障壁にもなり得るだけに、トヨタの出方に視線が集まっている。

 今回の報道は既定路線だ。ソニーは2012年4月から非中核事業の売却を打ち出しており、電池事業は平井一夫社長自らが本体からの事業切り出しを公言。携帯電話向けなど民生用の販売と並行して、成長が見込まれる車載用電池を開発してきたが、結局、供給先を確保するには至らなかったからだ。「韓国、台湾勢が躍進する民生用分野は価格競争が激しく、民生だけではこの先、戦えないと判断した」(ソニー関係者)

●韓国にシェア逆転される

 問題なのは、国内には買い手が見当たらなかったこと。かつてリチウムイオン電池は日本企業で計90%前後の世界シェアを握っていたが、調査会社テクノ・システム・リサーチの調べでは、11年は40%を下回り34.8%。対する韓国勢は39.8%で、総計のシェアで初めて日韓逆転を許した。

 電機業界を担当する証券アナリストは「韓国が携帯電話用などにおいて、大量生産で安値攻勢をかけたのが一因。日本勢は安値のところで戦っていても勝ち目はない。狙うべきなのは、ハイブリッドや電気自動車向け」と語る。

 実際、日本メーカーは、パナソニックはもちろんNECやGSユアサ、東芝などもそれぞれ自動車メーカーと手を組み、力を入れている。一方、ソニーはシェアこそ10%弱で、パナソニック、韓国サムスン電子、韓国LG電子に次ぐ世界4位だが、自動車向けの供給契約は現時点ではない。

 前出のアナリストは「日本メーカーにしてみれば、“自動車メーカーの顧客がついていない”状態では、うまみは少ない。日系各社にソニーの電池事業の売却話が持ち込まれたが、みんな敬遠したと聞いている」と明かす。

●中国・台湾勢への技術流出を懸念する経産省

 こうした中、ソニーに食指を動かすのが中国や台湾勢だ。自動車製造も手がける中国の電池メーカーBYDや受託製造世界最大手の台湾・鴻海精密工業が、ソニーの電池事業に興味を示している。後発の中台勢にしてみれば、車載の取引先の有無に関係なく、ソニーの電池技術は喉から手が出るほど欲しいからだ。

 焦ったのが経済産業省だ。「半導体、液晶と同じ轍を踏むわけにはいかない。電池の技術流出を絶対に阻止する」(同省関係者)と鼻息が荒い。産革機構は1兆8000億円ともいわれる政府保証枠の使い方を批判されることも少なくないが、本来は、産業競争力の強化が使命。韓国に抜かれたとはいえ、シェアで拮抗する今であれば、電池事業をてこ入れすることは国益にもつながる。「今後、自動車向けの電池は、自動車の電動化の進行で飛躍的に市場が拡大する。日本に巨大電池メーカーが誕生するのにカネを出すとなれば、ルネサスに2000億円近いカネをつぎ込むよりも、誰が考えても、筋の良い話」と関係者は声をそろえる。

●カギ握るトヨタは再編に消極的

 ただ、産革機構の「珍しくまともな計画」(前出のアナリスト)も、一筋縄には行かなさそうだ。「オールジャパン」の電池メーカーを誕生させるにあたり、世界首位のパナソニックの存在はとうてい無視できない。今後、成長が見込まれる自動車向けを取り込むとなれば、再編対象となるのはトヨタ自動車との合弁「プライムアースEVエナジー」に絞られてくる。

 合弁といってもトヨタが8割出資しており、経営のグリップを握るのはトヨタであることは明白だが、自動車部品メーカー幹部は「トヨタが再編に乗るとは思えませんよ」と語る。

「ガソリン車でエンジンが自動車の走行性能の肝であるように、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド、電気自動車の心臓部となるのは、走行距離などを左右する電池。そのコア技術をトヨタが開示しなければならなくなる再編などありえない」と指摘する。

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