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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(3月第4週)

ソフトバンクも積極採用 ビックデータ時代の職業“データサイエンティスト”って?

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さしずめ孫さんはビッグブラザー?
(「Wikipedia」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「週刊ダイヤモンド」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

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 「週刊ダイヤモンド 3/30号」の特集は『最強の武器「統計学」』。

 大量のデータがあふれる現代社会では、さまざまな事象を数字でとらえ、本質を導き出す統計学、統計的な思考法はビジネスマンにとって必須のスキルとなる。西内啓著『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)が発行部数12万部のベストセラーになっていることもあって組まれた特集だ。

 巻頭対談「なぜ統計学が最強なのか」では、『統計学が最強の学問である』の著者・西内啓氏と飯田泰之駒澤大学経済学部准教授が、統計学が“最強”である理由について語り合う。

『Part1 もう、ほっ統計(とけ)ない! 統計的思考を鍛える』として、世の中にはびこる思い込みを俗説バスター・統山計子が統計的思考でぶった切るという記事だ。一例として、じゃんけんはグー、パー、チョキそれぞれ出る確率が異なる。数学者が1万1567回のじゃんけんを分析した結果、グーが出る確率は35・0%、パーが出る確率は33・3%(記事ではなぜか33・0%と誤植している)。チョキが出る確率は31・7%だったという。手の構造上、グーは出しやすく、さらに緊張していると握りしめる傾向があるからだという。このため、パーを出すことがじゃんけんの必勝法なのだという。こういった確率などの面白雑学記事だ。

『Part2 統計の基礎知識』では、平均値、中央値(全てのデータを小さい順に並べた時に真ん中となる値)、最頻値(度数分布表で、度数が最大となる階級値)や、基本的なツールであるエクセルの使い方について解説している。

『Part3 統計を使いこなす』では、マーケティングの分野でビッグデータ(顧客情報などの巨大なデータ)の活用に注目が集まっている。データ解析を確実にビジネスに生かす事例を紹介している。かつてメジャーリーグの貧乏弱小球団だったオークランド・アスレチックスが「セイバーメトリクス」と呼ばれる統計手法を駆使して、出塁率・長打率といった評価指標を用いたチーム作りを行い、金満強豪球団と張り合えるチームを作り上げた事例は、小説や映画『マネーボール』で知られている。日本でも福岡ソフトバンクホークスは、親会社ソフトバンクの協力もあってデータの活用に積極的だ。将来的には詳細な動作解析のほかに、優秀なスカウトやコーチしかわからない、ピッチャーの直球の“ノビ”や変化球の“キレ”などを科学的に解明したいという。

 このほかにも、2012年のロンドン五輪で28年ぶりの銅メダルを獲得した全日本女子バレーボールチームの快挙の裏には、眞鍋政義監督のタブレット型端末による統計分析が大きな役割を担っていたエピソードなどを紹介している。また、リクルート、カブドットコム証券、機械翻訳などの取り組みを紹介している。

 今回の特集で知っておきたいのは、「統計家 データサイエンティスト」という職種。大量のデータを分析し、そこから有益な結果を導き出すデータ活用の専門家だ。数理統計などを用いた分析スキルとコンピュータプログラミングのスキルを持つ一方、経営やマーケティングなどに関するビジネスモデル構築能力も兼ね備えた存在だ。09年にはグーグルのチーフエコノミストが「今後10年で最もセクシーな仕事は統計家(データサイエンティスト)だ」と語り、11年、米マッキンゼーが公表したレポートによると、米国では18年までに高度なデータ分析のスキルを持つ人材が、14~19万人不足すると算出しているほどだ。

 さらに日本では、統計学を専門的に学ぶ機関は統計数理研究所のひとつしかない状態だ(中国でも160以上、韓国でも75の大学で統計学科があるにもかかわらず)。つまり、日本でもこれからの職業として「統計家 データサイエンティスト」は大いに注目されていきそうだ(記事『不足は必至の人気職業 データサイエンティスト』)。

 ライバル誌「週刊東洋経済 3/2号」特集『2030年 あなたの仕事がなくなる』でも、記事『業界別・20年後に輝く仕事』で筆頭に「データサイエンティスト」が挙げられていた。記事の中では、ソーシャルゲーム大手のグリーのデータサイエンティストを紹介しているが、どのゲームに広告宣伝費を集中投下すべきか、テストマーケティングの結果から判断することなどが、その役目だ。日本経済新聞にも同様の記事があった。3月26日付35面『大量データ 経営に生かす 「データサイエンティスト」に脚光』記事では、現在の米国西海岸での給与水準はトップのITエンジニアの給与水準の4~5割増し、日本では全体で1000人に満たないために今後の人材不足が懸念されているという。

 統計数理研究所所長の樋口知之氏は、不足するデータサイエンティスト問題に対し、雇用状況が厳しいポスドク(非常勤の博士研究者)がデータサイエンスを学び直し、民間企業に必要とされる人材になる、ポスドクの転向プログラム構想を紹介している(記事『お粗末な「数字で語る」経営 経営者に統計リテラシーは必須』)。データサイエンスこそ、精緻な性格が多いといわれる日本人にぴったりのビジネスではないだろうか。
(文=松井克明/CFP)

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