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吉田潮「だからテレビはやめられない」(4月8日)

芸人ブームの終焉(?)受け、テレビで台頭めざましい歌手たちは、なぜ面白い?

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『Beautiful life /GAME』
(ユニバーサルJ/福山雅治)
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 今、テレビ界でじわじわと露出を高めているのは、歌手のみなさんである。口パクの似非歌手ではなく、正真正銘・本物のアーティストのほう。3月は番組改編期で特番が多いせいかもしれないが、予想以上に目についたので記しておこう。しかも、みんな話が面白かった。

 ここ数年、どこもかしこも芸人だらけの番組が増え、同じような構成のモノがはびこってきたワケだが、そろそろ転機が訪れているのだろう。視聴者が肌で感じる「芸人ブームの終焉」。その一端を担うのは、本業が歌い手のアーティストなのかもしれない。この1カ月で目についたアーティストは以下の通り。

 SOPHIAの松岡充が、『東京エトワール音楽院』(日本テレビ系/3月7日放送)に登場し、『1965年生まれのロックレジェンド学』を解説していた。尾崎豊・吉川晃司・岡村靖幸をジャパニーズロックの“神”と崇めて、彼らの伝説を語ったのだが、松岡の話しっぷりは非常に軽快で、笑いのツボを押さえていたと思う。確か俳優としても活躍していたような。演技力も高く、いい年の取り方をしている。彼の音楽を聴いたことはないけれど。

 泣く子も鬼女も黙るイケメンとして大人気の福山雅治。ラジオでのシモネタが有名らしいが、『A – studio』(TBS系/3月15日放送)でも本領発揮。カッコイイのにシモネタ全開で、老若男女問わず好感度が高いとは。私の周りのアラフォー女性も、何はともあれ福山雅治推し。こうなったらテレビ界も一気にシモネタ解禁にして、福山メインの番組をつくればいいのに。男性器の呼び名を口にしても皆が微笑んで許すのは、福山くらいである。

 森山直太朗はあちらこちらに出没しているのだが、『一生考えない事を30分だけ真剣に考えるTV』(日本テレビ系/3月5日放送)で、なかなかの立ち位置を確保していた。この番組自体が実験的で面白い番組だったのだが、バカリズムとデヴィ夫人と森山という奇妙な組み合わせがシュールで、森山の飄々とした持ち味が十二分に発揮されていたように思う。歌を絡めたトーク番組ならまだわかるが、音楽とまったく無縁の番組にもちょくちょく顔を出す腰の低さと軽さがいい。

 もうひとり、忘れちゃならないのが岡村靖幸である。いとうせいこうとユースケ・サンタマリアがひっそりねっとりつくっている深夜番組『オトナの!』(TBS系)で、3週連続のゲストとして登場。普段音楽を聴かない私にとって、岡村ちゃんは別格。ライブも行ったくらい、あの音楽は好きである。ラテ欄に岡村靖幸の名前を発見し、小躍りしたくらい。

 仲良しという水道橋博士とともに登場した岡村ちゃんは、完成度の高い即興セッションを披露。過去イロイロとあったワケだが、天才的な音楽センスは健在。深夜に痺れまくった。

 歌を本業とするアーティスト本人にとって、トークセンスだのキャラクターだのはどうでもいいことかもしれない。異なる筋肉を使うことを強いられるテレビは、疲れて消耗するだろうし、「消費されていく」ことに反発を覚えるかもしれない。でも飽きっぽい視聴者にとっては新鮮で興味深い。ラジオのように自由な発言を許されるテレビ番組があるのなら、ぜひアーティストの皆さんもがんがん出てほしい。

 個人的には、斉藤和義と福山雅治と桑田佳祐のタッグで、最強のシモネタトーク番組を実現してほしい。スポンサーはコンドームの会社とかで、民放キー局でお願いします。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。