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シリアルアントレプレナー・小川浩「Into The Real vol.19」

焦るGoogle、主役のFacebook…検索からソーシャルストリームの時代へ

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焦るGoogle、主役のFacebook…検索からソーシャルストリームの時代への画像1サイト「Facebook」より
 現在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めているシリアルアントレプレナー・小川浩氏。『ソーシャルメディアマーケティング』『ネットベンチャーで生きていく君へ』などの著書もある“ヴィジョナリー”小川氏が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。

 インターネットビジネスに身を置く者として、現在のインターネット業界の最大のトレンドとは、ソーシャル化とモバイル化だ。

 インターネットのソーシャル化とモバイル化の結果、個々人が、インターネットに情報をアップロードしたり伝搬させるためのノード(ネットワークを構成するひとつひとつの要素。ちなみにノードとノードを結ぶ線をがリンク)の最小単位となった。しかも、この新たなノードは(当たり前のことながら)移動するので、時間の推移とともに位置が変わるところが、今までのサーバーやPCとは違う面白さを生む。

 ソーシャル化された我々が時間の変化に伴い(時系列に)、位置を変えつつ情報をアップしている。つまり、タイムスタンプとロケーションログを伴いながら、人間関係や社会現象などがネット上に反映されていくわけだ。これらのすべての記録が、FacebookTwitterなどのソーシャルネットワークに時系列順で残され、過去にさかのぼってそれらを振り返ることもできるようになった。僕はこの情報の流れを「ソーシャルストリーム」と呼んでいる。

 ソーシャルストリームこそ、次世代のWebであり、インターネットの形だ。ソーシャルストリームでは、検索の重要度がかなり下がってきていて、これがGoogleの焦りを呼んでいる。

 今までのネットユーザーにとって、インターネットは巨大な海だった。海上で途方に暮れていると、Googleがやってきて「あなたの欲しい情報を探せますよ」と言ってくれた。非常にパワフルで正確な検索エンジンを我々に提供して、ネットの使い方を愉しく便利にしてくれた、その貢献度は非常に大きい。

 Googleはなんでも探してくれた。ただ、問題があるとすれば、自分が見つけたいものがなんであり、それを探すにふさわしい言葉を、つまり検索窓に入れるべき言葉を自分で思いつかなければならない、ということだけだった。

 ソーシャル化とモバイル化の結果、現代のインターネットは再び川のような流れをたたえ(ソーシャルストリーム化)、一般のユーザーはそこに流れてくる情報を受動的に眺め、偶発的に自分の好みに合った情報のリンクをクリックするようになった。いわば怠惰になったとも言える。

 現在のインターネットユーザーは検索するまでもなく、SNSのタイムラインに流れる情報に含まれるリンクをクリックすることでトラフィックを発生させる。今やトラフィックの主役は検索ではなく、ソーシャル上で偶発するセレンディピティ(何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す)なのである。

●FacebookがGoogleから奪おうとするもの

 この新しい主役を演じているのが、ほかならぬFacebookだ。

 だからGoogleはGoogle+に大金を投じて自らをソーシャル化しようと試みている。同時にユーザーの検索体験をソーシャル化しようとしているのだが、Facebookはソーシャル検索を先んじて普及させようとしているし、モバイルにおけるユーザーとの接点をGoogleから奪おうとFacebook Homeを投じた。

 現在のソーシャル化し、モバイル化したインターネット社会においては、常に人間がネット接続しているためのデバイスと、そこからネットを直接利用するためのインターフェイスの奪い合いが大きなビジネス機会となっている。具体的に言うと、デバイスではスマートフォンでの戦いがあり(AndroidとiOSの戦い、AppleとSamsung、そしてGoogleの戦い)、さらにスマートフォン自体を無力化してしまおうとする試み(Goolge Glass、iWatchなどの新デバイスの登場)が見られる。インターフェイスの戦いとはAndroidとChrome OSの蹉跌、Androidを完全にFacebook化してしまうFacebook Homeなどを指す。

 このように、ソーシャルストリーム化が進むことで、多くのネット業界の巨人やデバイスメーカーなど、さまざまな企業たちがクロスオーバー的に戦わざるを得ない状況が生まれている。逆に言えば、ソーシャルストリームを理解することが、今後の戦局を占うためのキーになるのだ。
(文=小川浩/シリアルアントレプレナー)

焦るGoogle、主役のFacebook…検索からソーシャルストリームの時代への画像2
●小川浩(おがわ・ひろ) 
シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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BusinessJournal編集部

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