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吉田潮「だからテレビはやめられない」(4月23日)

新連ドラ、下らないが繊細さ興味惹くテレ東、エロくないエロドラマで限界露呈のフジ?

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「みんな!エスパーだよ! 公式サイト」
(テレビ東京 HP)より
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 春の連続テレビドラマがほぼ勢揃いした。今季のキーワードは「エロ」「無礼でガサツな女」「コミュニケーション難あり男」といったところ。注目したいのは「エロ」である。

「エロ」は厄介なテーマだ。もちろん果敢に挑んだ作品もあったのだが、たいていが放送倫理・番組向上機構(BPO)という巨大な“必要悪”組織に木っ端みじんにやっつけられてしまう。昨年の昼ドラ『幸せの時間』(東海テレビ)がそうだった。素直にエロくて、人間の弱さと滑稽さを表現した秀逸なドラマだったのに。おかげでどの局も常に弱腰・逃げ腰・へっぴり腰。いまやテレビ界で堂々とエロを振りかざせるのは、タレント・壇蜜と作家・岩井志麻子のみだ。

 今季はそこにあえて挑んだドラマがある。群を抜いてエロに特化したのが『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)だ。愛知県の片田舎で平凡な生活を送っていた高校生たちが、ある日突然超能力者になってしまうという物語。主演は若手俳優の最高峰・染谷将太。監督が園子温とくればピンとくる人も多いだろう。もちろん、園の嫁である神楽坂恵も出演している。

 昭和育ちならわかると思うが、このドラマには月刊誌「BOMB」(学研パブリッシング)の人気コーナーで映画化もされた『パンツの穴』や、テレビドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)のニオイがする。童貞の無限低俗な妄想、頻発するパンチラシーン、股間をうっかり反応させて困る主人公。ちょっぴり懐かしくてどこかおぼこい映像が次々と繰り出される。

 染谷の幼馴染みで、とっぽい女子役の夏帆も大奮闘。超能力を身につけてしまったがために身悶えるシーンは驚くほど官能的だったし、ミニスカの制服で染谷に何度も跳び蹴りを入れるシーンもすがすがしい(当然パンツ丸見え)。染谷が通う喫茶店のマスター役は芸人のマキタスポーツ。TENGAをこよなく愛するロクデナシ男で、彼もまた超能力者に。この地域に超能力者が多発している現象を研究する謎の男が安田顕、その助手に神楽坂恵。安田はむやみやたらと神楽坂の胸を弄ぶ。この馬鹿馬鹿しさといったら! 中二男子目線で果てしなく下らないのだけれど、細かい仕掛けや今後の展開は気になるドラマである。

●フジテレビのエロドラマがエロくないワケ

 もうひとつ、「エロ」くくりとしては『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系)だ。主演は篠原涼子で、10年彼氏がいない=セックスをしていない、さらにはヒゲまで生えてきたアラフォー女という設定だ。篠原の過剰なオッサン風演技は鼻につくし、肌もつるつるぷりんぷりんで、女性ホルモンぶっちぎりの勝利。ヒゲ生える、皮脂増える、吹き出物できるなど、男性ホルモンが優位になる現象をリアルに演じさせるなら、真木よう子が適任だったと思う。

 で、このドラマはちっともエロくない。篠原の友人役・飯島直子のヤリマンっぷりがその権化。トイレで若い男性を襲ったり、友人の夫をナンパしたりと孤軍奮闘で肉食女を演じているのだが、飯島級の女ならもう少しまともな男を狙うはず。セリフで「セックス」を連発させられ、低レベルの男ばかり狙わされている。つまり、飯島を「どうしようもないタガの外れたヤリマン」に仕立て上げ、女の性欲解消を“みじめ”に見せようとしているのだ。飯島ひとりだけにエロ戦犯を背負わせておきながら、「ちょっとエッチな大人の恋物語」だと? 女の性欲なめんなよ。フジテレビの限界点はココか、とがっかりした。ちょっと期待してたんだけどなぁ。東海テレビのほうがよっぽど頑張ってたわ。

 4月期ドラマレビューの第1弾をエロでくくるってのもどうかと思うが、まぁ、春だし。暖かくなってきたし。第2弾は「不遜な女」か「人格を疑う男」でまとめてみよう。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。