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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(5月第4週)

スクープのカラクリ 特ダネは企業からのリーク? テレビニュースはステマまがい?

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(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「週刊ダイヤモンド」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

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「週刊ダイヤモンド 5/25号」の特集は『経済ニュースを疑え! 報道現場の裏側を明かす』だ。ダイヤモンド誌創刊100周年記念の第一弾は、家電産業から脱却を図るパナソニックに肉薄したが、今号の第二弾は経済ニュースの裏側に迫った特集だ。

「読者がこれまで知る機会のなかった経済ニュースの裏側を明らかにしつつ、スクープの作られ方、誤報が続出するニュースの中身、そして、お金が絡み始めたニュースの流通という3段階で、問題点を掘り起こした」という内容だ。

 特集『Part 1 スクープの裏側』では、「特ダネは記者ではなく企業の広報が作るもの」という大手総合商社の広報担当者の声を紹介しつつ、経済ニュースの多くが、企業側からのリークによって成立する事実を明らかにしている。

 広報担当者がプレスリリースを出すとき、まず日本経済に影響力のある日本経済新聞に流す。こうした広報スタイルを「日経ファースト」と呼ぶ。この「日経ファースト」の構造が生み出されたのは、一強皆弱という日経の独壇場になっている市場構造と、いわば独占状態の日経に少しでも大きく扱ってもらおうという企業側の事情がある。

 たとえば、企業の広報担当者の人事評価は日経の紙面への掲載件数で決まる場合がある。しかし、日経側は自社だけの特ダネと全社への一斉発表では記事の扱いが大きく異なり、「場合によっては黙殺される」場合もあるという。

 ほかの全国紙が30~40人規模に対し、日経は経済部約30人、産業部約120人、証券部約60人などという他紙を圧倒する陣容ながらも、リークに依存する構造から、企業への批判的なスタンスが足りない点を指摘する。

 特集『Part 2 誤報のカラクリ』では、誤報が頻発するマスメディアの背景として、記者にのしかかる重圧と検証機関がない点を紹介している。注目記事は「週刊ダイヤが株特集を組むとなぜ株価はピークを打つのか」という記事だ。「経済誌の本領ともいえる株特集で予測を外しまくっている」と自嘲気味に自社の誤報を紹介している。

 市場関係者やアナリストの間でしばしば語られるブラックジョークに「経済誌が株特集を発売した時には相場がピークを迎えている」というものがあるが、実はジョークとはいえない実情がある。経済誌は、株特集を5月初旬に集中する企業の決算情報をもとに作成することが多い。すでに株式市場では決算情報が発表された段階で、株価はその情報を織り込んでしまう。経済誌が店頭に並んだ時点では圧倒的に遅く、ピークを過ぎてしまっているのだ。

 ダイヤモンドもこの例にもれない。たとえば、2007年9月8日号特集「資源株投資入門 年金に頼らない老後資産づくり!」は、新興国の台頭により資源株がいかにこれから値上がりするかが説かれ、具体的な銘柄も数百紹介されていたが、1年後のリーマンショックで世界経済は減速する。「退職金をつぎこんで大損した」という読者からのクレームの電話もあったほどだという。

 当時の特集では「暴騰する」「高騰波及」「太鼓判」などと派手な見出しも並んでいたが「こうした派手な見出しをつけ人目を引くのは、販売部数を増やすためだ」と正直に明かし「資源株特集はやり過ぎたと言わざるを得ない」と反省する。

 特集『Part 3 “売買”されるニュース』では、今も昔も広告に依存するテレビ局のニュース番組において、PR会社から製作会社は協力費を受け取り、企業にとって都合の良い情報を流している現状に警鐘をならす。いわばステマ(ステルスマーケティング)状態のテレビニュースにメディアの自己規律を求める。

 特集『Part 4 ニュースの未来』ではネットでの無料情報の氾濫、技術の進歩、メディア企業のリストラで広告と番組の境目が完全消滅、調査報道が廃れた203×年の未来をシミュレーションしている。

 今号ではダイヤモンド編集部への批判的な視点も忘れない。特集『Part 1 スクープの裏側』では「日経ファースト」の主要な要因として「本誌を含む他の経済メディアの体たらく」を挙げる。さらに、特集『Part 2 誤報のカラクリ』の記事『同じ特集使い回し決断も遅い 部数が不安で新機軸出せず』では、「週刊ダイヤモンド」は、およその部数の見込みが立つ定番の特集を使いまわす傾向がある。部数がどれほど出るのか不安になり決め切れずにいるうちに、ライバル誌に先を越されることもあるという。読者の4割を占める定期購読者のアンケートでは「これ以上この企画を繰り返すなら定期購読をやめる」という声も出てくるほどだという。