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電通、国の補助金応募審査の“怪” 自民党選挙対策か…審査過程も非公開

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電通本社(「Wikipedia」より/Jmho)
 中小企業庁は、「地域需要創造型等起業・創業促進事業」という創業補助金制度を設けている。同庁のHPにはその目的として、「新たに起業・創業や第二創業を行う女性や若者に対して、 その創業等に要する経費の一部を補助する事業で新たな需要や雇用の創出を図り、我が国経済を活性化させる」とある。補助上限額は700万円と助成金額は小さいが、総額が300億円と大きく、したがって対象となる口数が大きい「もらいやすい助成金」であるが、この助成金について、「自民党による参議院選挙対策のばらまきだ」(関係者)との声が上がっている。

 この補助金の応募には、「中小企業庁が認めた金融機関に類するところを“保証人”として、助成額の1/3を借りて応募すること」が必要である。銀行はもちろん信用金庫や商工会議所などでもよい。北朝鮮系のウリ信金でさえOKである。なのに、共産党系の民主商工会は除外されている。

 また、審査過程が公開されないところも問題だ。通常なら、翌年以降にレベルアップして再応募してもらうために、落選した企業には至らぬ点を指摘するものだ。ところが「この補助金は選挙対策なので、来年度以降の実施予定がない」(同)から、フィードバックがない。どういう基準で採用されたのか、また、落とされたのかの説明がない。すなわち、管理団体が任意に助成対象団体を決めることができる。

 しかも、この補助金は、ほとんど告知されていない。さらに、事業可能性を審査した上で融資というお墨付きをもらうには、通常2週間は必要である。慎重な金融機関であればもっとかかる。実際に申請を試みた人たちによると、そもそも金融機関がこの制度を知らないので、銀行が補助金の「お勉強」からスタートするため、通常の融資よりも審査期間は長くなる。

 5月22日にようやく、第2回の公募期間が発表になったが、一次締め切りは6月7日。事前に情報を入手して、「仕込み」を終わらせていた人しか間に合わないだろう。

 ちなみに、ある新聞記者によると、保証人としては除外された民主商工会や共産党は、この補助金についてまったく把握していなかった様子で、いかに情報がごく一部にしか伝わっていなかったかの傍証といえよう。

 こうした状況から、「自民党が一部の支持者への便宜として、この補助金を利用している」、つまり「選挙対策のばらまきでは?」と見られているのだ。

●なぜ電通が補助金の応募審査?

 しかも、東京都でこの補助金の審査を担当するのは、自民党の広報戦略を担当する広告代理店・電通。他の都道府県では、ノウハウを持つ一般法人や社団法人が審査に当たる。営利企業であり、広告代理店である同社には、「地域需要創造型等起業・創業促進事業」を目指す起業家や中小企業を審査や支援するノウハウはない。なぜ、電通がこの事業の東京都統括に選ばれたのであろうか?

 この疑問を中小企業庁に問い合わせたところ、「奈良県も株式会社が担当していることですし」とのことだった。

 また同庁によると、「どの都道府県にいくら予算が配分されるかはまだ決まっておらず、応募者数などを考慮して決める」とのこと。昼間人口や企業数から推測するに、東京都に割り振られる予算は全体の2〜3割。60億から100億円近い金額を、電通は審査過程や採用理由を公開せず、任意に配ることができるのだ。もし審査の過程で不正があったとしても、公になる可能性はきわめて低いといえよう。

 ちなみに、電通が補助金応募審査の全国統括に入らなかった理由について、単に「儲からないから」(前出の会社社長)という。この補助金の管理マージンは薄い。うまみは、補助金を自在に差配することで、広告業界周辺にあらためて電通の力を見せつけ、そうした力を背景に東京のマスコミ周辺さえ押さえておけば、「アベノミクスは成功です」という世論誘導も可能かもしれない。クライアント=自民党の意向を満たしながら、最も労少なく益多い手段を電通は取ったわけだ。

 国が執行する補助金応募審査を、政権与党を担当する広告代理店が請け負い、自由に配布先を決めることができるのでは、補助金配布の公正性が損なわれるのではないか。この点について専門家は「道義的には問題だが、公職選挙法ほかの法律には触れない。つまり、合法化された賄賂」だという。

 7月に公示される参議院選挙は、改憲の是非などを問う重要な選挙である。自民党は改憲を掲げるが、電通の誘導によりそれが実現されれば、“押し付けられた憲法”どころではなくなる。
(文=編集部)