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ダマされないための「儲けのカラクリ」 第4回

なぜ電通、博報堂は自社のテレビCMしない?視聴率のカラクリ

文=坂口孝則
なぜ電通、博報堂は自社のテレビCMしない?視聴率のカラクリの画像1昨年年間民放視聴率2位は『家政婦のミタ』
(日本テレビ系)。(「同社HP」より)

さまざまなテレビ番組や雑誌などでもお馴染みの購買/調達コンサルタント・坂口孝則。いま、大手中小問わず企業から引く手あまたのコスト削減のプロが、アイドル、牛丼から最新の企業動向まで、硬軟問わずあの「儲けのカラクリ」を暴露! そこにはある共通点が見えてくる!?

 大学生のとき、はじめて「デンパク」という言葉を知った。最初に聞いたときは「電波君」と言われたかと思ったが、電通と博報堂という会社のことだった。なんでも、テレビなどの媒体の宣伝広告枠を売って、CMを制作してお金をもらうのだという。まわりの就職学生いわく、「あそこに入社できたら超エリートだ」と。

 しかし、そのときに疑問に抱き、いまでも疑問なのが、「なぜ広告代理店は、自社のCMをテレビで流さないのだろう?」ということだった。そりゃ、企業相手の商売だからCMはふさわしくないのかもしれない。ただ、企業相手の商売を営むところだって、デンパクによってイメージ広告を出しているではないか。

「社員が自社商品を使っていない場合、その商品を疑え」という法則からすると、どう考えればいいだろう。もしかすると、価格相当の価値がないということか?

 大学卒業から10年ほどたって、テレビに出演する側になった。視聴率いかんによって広告費が変わるから、現場はいつでも必死だった。ゴールデンタイムにレギュラー出演していた番組のスタッフが、放送から数日後に「今回は10%切りました」とか「なんとか10%超えました」と教えてくれた。彼らからすると、その数字で命運が決まるのだから意識せざるをえない。

視聴率は正しい数字を表現するのか?

 ところで、この視聴率というもの。相当な誤差があることは、ほとんど知られていない。視聴率の調査は、限られた家庭に設置された視聴率調査機による。その数が600とすると、その600家庭が視聴している率がすべてを代表する。「サンプル数がたった数百であれば、実態とズレる」ということは、誰でもわかるだろう。

 列記しておこう。統計的な解説は省くものの、下の数字は信頼度95%のときだ。

・視聴率5%の場合:実態と±1.8%ズレうる。具体的には3.2%~6.8%の幅をとる
・視聴率10%の場合:実態と±2.4%ズレうる。具体的には7.6%~12.4%の幅をとる
・視聴率20%の場合:実態と±3.3%ズレうる。具体的には16.7%~23.3%の幅をとる
・視聴率30%の場合:実態と±3.7%ズレうる。具体的には26.3%~33.7%の幅をとる

 どうだろうか。テレビの現場では、視聴率7.6%と、12.4%ではまったく異なる印象だ。しかし、「視聴率10%」の場合、両方「実はこうだった」という可能性のある数字なわけだ。これほどの誤差をもっているものに左右されてしまうテレビマンたちに、同情せずにはいられない。

 何度もテレビ制作会社の人に、視聴率のもつ誤差について説明しようと試みたけれど、「理系じゃないから、統計とかわかりません」だと。幸多かれと祈るしかない。

坂口孝則

坂口孝則

関西の某国立大学卒業後、携帯電話メーカーへ。購買部に配属される。バイヤーとして担当したのは200社以上。株式会社アジルアソシエイツ取締役、未来調達研究所取締役(現職)。バイヤー同士の情報交換ができる場、購買ネットワーク会発起人。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。メルマガ「世界一のバイヤーになってみろ!!」代表執筆者。コスト削減のコンサルタント、調達業務研究家。物流コンサルタント。
未来調達研究所株式会社

Twitter:@earthcream

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