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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(7月23日)

スマホ普及で痛手の電機業界、苦境脱出のカギはスマホ?高品質路線にくすぶる懸念

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TDK本社が所在する東京・港区のビル
 業績不振が続く電機業界に、またも暗いニュースが舞い込んだ。7月18日付日本経済新聞が、TDKの2013年4~6月期の連結営業利益が「50億円前後」と、前年同期に比べて半減していると伝えている。

 その背景には、スマートフォン(スマホ)の普及によるパソコン不振があるようだ。パソコンの世界出荷台数は4~6月期に前年同期比11%減に落ち込み、同社が主力製品としているハードディスク駆動装置(HDD)向け磁気ヘッドの販売も低迷。磁気ヘッドを含む磁気応用製品部門は、約8割の減益になったとみられる。

 その一方で、6四半期ぶりに営業黒字へ転化している部門がある。スマホ向け部品を柱とする電子部品部門だ。積層セラミックコンデンサー(MLCC)や高周波部品などが新端末に採用されはじめ、同部門の営業損益は10億円以上の黒字に。さらに大手スマホメーカーの新製品向け受注を獲得し、同社は巻き返しを図っている。前年同期比で営業利益が半減という厳しすぎる結果を突きつけられたTDKだが、14年3月期の営業利益は前年比39%増の300億円とする従来予想を据え置いた。スマホの普及によって従来の主力商品の販売は低迷したが、皮肉にもスマホ向け部品に助けられた格好だ。

 TDKのほかにも、スマホ向け部品に注力し、苦境からの脱却を目指す電機メーカーは増えている。取り組みが早かった日東電工は今期に過去最高益、村田製作所は7割増益を見込んでいるという。また、東芝はスマホで撮影した画像などを記録するNAND型フラッシュメモリーの設備増強に最大300億円を投じ、エルピーダメモリも台湾子会社でDRAMの生産を増やすなど、スマホ向け部品の好調を背景に、復活の兆しを見せている。

 日本の電機メーカーがスマホ向け部品で成功している背景には、高い技術力がある。東洋経済オンラインの6月16日配信記事では、スマホやタブレットメーカーが高品質なスマホ向け部品を求めている中で、台湾や中国のメーカーは品質で日本に追随できていないと指摘。さらに、「低価格スマホ向けのビジネスはしない」と高級路線にこだわり、スマホ用パネルを製造するジャパンディスプレイの戦略が“今のところ”成功していると伝えている。しかし、その一方で、「恐ろしいスピードで変化するのがモバイルデバイスの世界。激安スマホが世界を席巻すれば、たちまちそっぽを向かれて稼働率が低下する」という懸念もあるようだ。

●米韓企業にあって日本企業にないもの

 品質で勝負しようとする日本電機メーカーの姿勢に危惧を示しているのが、韓国籍の経済専門家・金美徳氏だ。5月2日配信の新華経済記事で、金氏は「『品質が良ければ、販路には問題ない』という考えにこだわる日本メーカーは、市場動向や消費ニーズの分析が明らかに足りない」と分析。それに対し、韓国メーカーはマーケティングに力を入れ、多様な製品を提供することで市場シェアを拡大していると分析している。

 また、神戸大学大学院経営学研究科教授の松尾博文氏は、3月18日配信のダイヤモンド・オンライン記事で、現在の日本電機メーカーはBtoBのビジネスに特化してきていると指摘。「日本のものづくりと技術力を生かす現状維持の方法としては、これしかないだろう」と述べながらも、「何か大化けするかもしれないオプションを失うかもしれない」と危機感を示している。

 日本経済新聞編集委員の中山淳史氏は、7月17日配信の日本経済新聞電子版記事で、「米IT企業にあって日本の電機にないもの」として、米インテルのフューチャリストを紹介している。フューチャリストとは、「『今ないもの』を想像し、創造するだけでなく、それが社会や生活に与えるインパクト、悪影響を最小限化しつつ、新技術を軟着陸させる」、10年間の技術ロードマップを詳細につくるプロフェッショナルだ。インテルも主力のパソコン向けの半導体製品の販売が低迷しているが、「10年先、20年先までの技術ロードマップができ上がっていて、あとは時期を見て製品を送り出すだけ」だから、株を買いたたかれることがないと、中山氏は分析している。

 高品質のスマホ用部品に活路を見いだしている日本の電機業界だが、日進月歩のモバイルデバイスの世界でイノベーションが起こった際に、取り残されるリスクは小さくないようだ。目先の利益と、将来への投資--そのバランスをどう取るかが、業界再建の鍵になっているのかもしれない。
(文=blueprint)