今回は、改めてフェイスブックを採用と就活(就職活動)に利用する際の注意点について論じてみたいと思います。
●採用(企業)側にとってのフェイスブック
2011年は、フェイスブック採用元年といわれました。巷には関連本が溢れ、それをテーマにしたセミナーもかなり見られました。
当時、「今後は就職サイトが不要になり、フェイスブック採用が主流になる」ともいわれました。
各社とも景気低迷による採用予算削減のなか、フェイスブック採用の検討に入ったのです。果たして、フェイスブックは採用の新たな主流になり得たのでしょうか?
フェイスブック採用の概要を確認してみましょう。
(1)低コストで効率良く高学歴層の掘り起こしが可能
まず手順として、フェイスブックで感度の高い学生と接触し、自社の情報を定期的に流したり、学生との交流を通じて魅力をアピールするなど、自社の選考へと誘導する。ターゲット層と同じ出身校の社員を登場させフレンドリー感を醸成させるなど、志望度を向上させる。
特定の分野に興味を持つ学生に対して、ピンポイントでの訴求が可能になる。また、コストがほとんどかからない。フェイスブックでつながることにより、その後もオンラインで意思疎通を続けやすい。
(2)動画配信との組み合わせによる効果促進
動画配信と連動性を持たせることで、海外の学生や企業説明会に参加できない遠方の学生に対して訴求することが可能となる。
(3)適切な母集団の形成
就職サイト経由と異なり、フェイスブック上で交流を重ねることにより戦略的に誘導しているため動機形成がなされており、自社への就職意欲が高い母集団が形成される。また、既に絞り込みができている対象なので、ミスマッチが少ない。
(4)効果的な面接の実施
スカイプなどのネットワーク回線を活用することにより面接の手間を軽減でき、企業と学生双方にとって大きなメリットである。また、海外の学生や遠方の学生を効果的に誘導することが可能である。
私は、これまでの学生インタビューなどから、実は、巷でいわれているほど学生はフェイスブックを就活には利用していないと考えています。一部で、フェイスブックを利用して就活している学生は、情報指向性が高く優秀であるといわれていますが、実際にフェイスブック採用によって優秀な学生を採用できていれば、多くの企業が導入し、すでに就職サイトに取って代わる存在になっているはずです。
いまだそのレベルに至っていないという意味では、フェイスブックは期待外れだったということになります。いまフェイスブックは不適切な学生を発見するツールとして活用されているのが実情でしょう。
●就活(学生)側にとってのフェイスブック
フェイスブックを通じて、多くの学生は、極めていい加減で未熟な存在だということを露呈してしまっています。日記や書き込みを見れば、一般常識のなさや文章がまともに書けないことなどが容易に企業に知れてしまうのです。
本来であれば、学生にとっても、効果的に就活に利用できるはずのフェイスブックが、学生同士の幼稚な会話によるチャット状態になっていたり、プライベートの不適切な記事を掲載していた場合などは、かえって就活の足かせになりかねません。
学生のフェイスブック普及率が高まるにつれて、採用担当者は例外なくフェイスブックのプロフィールチェックや記事チェックを行うようになりました。その中に不適切な内容があると、選考から漏れることになります。不適切な内容とは、概ね次のようなものを指します。
(1)過度なプライベートの投稿
「昨日飲み過ぎて○○でした」という類の飲酒にまつわる日記は、その最たるものです。友人との内輪ノリで羽目を外した内容は、本人からしてみれば楽しかった出来事であり、他意はありませんが、間違いなく印象は悪くなります。文章や写真から未成年の飲酒などが判明すれば、それは法律違反ですからもちろんアウトですし、恋愛や異性関係の類の書き込みも原則NGです。
このような日記で、更に不謹慎な画像までUPされていたら救いようがありません。またサークル活動であったとしても、男女が大勢で騒いでいるような写真も不謹慎と捉えられる可能性があります。常に投稿をする際には「他人が見たらどのように思うのか」を考えながら、慎重に検討する必要があります。
(2)公共秩序違反に関する投稿
例えば、本当の公共秩序違反(交通ルール違反、非社会的活動、試験でカンニングをしたなど)は論外ですが、実は当たり前のように行われていることも、一歩間違えれば印象を落としかねません。
芸能人がブログで「本日の食事」と題して、食べた料理やお店を紹介している記事をよく見かけます。この類の多くは、ファンサービスやお店の宣伝用として意図された記事であることを忘れてはいけません。これを学生がやると、非常に滑稽な投稿になります。今日食べた料理、お店の写真の類を投稿している学生は多いのですが、他人が見れば「この人は芸能人でも気取っているのか?」と、いぶかしげな目で見られるかもしれません。