また、食事中に写真を撮るという行為が、芸能人はともかくとして、一般人においてはマナー違反(非常識)といわれかねません。お店の写真が勝手に投稿されていれば、それは肖像権の侵害にもなり得ます。テレビの映像を無断でUPしていれば、それは著作権法違反です。当該学生が、テレビ局や新聞社、出版社等のマスコミを志望している場合であれば、かなりのマイナス評価になることは間違いないでしょう。
(3)選考に関わる記事
常識的な判断として、企業の固有名詞を出した場合、当該学生が次以降の選考に進む可能性は極めて低くなります。企業名を出さなくても、内容(今日は筆記試験でSPIでした、20名くらいが参加していました、グループワークも実施されました)や、特にネガティブな情報や批判的な意見(圧迫面接だったなど)は、採用担当者の心証を害することになるため、控えるべきです。
ここまで書くと「フェイスブックは就活で使えない」「企業が学生のプロフィールや私生活のチェックに利用しているならば、デメリットが多い」と気づく方も多いでしょうか。
私は、学生(就活生)という立場を考えると、下手にフェイスブックに手を出さないほうが賢明であると思います。フェイスブックの利用は、色々な意味で高いリスクを背負うことになるからです。利用するなら、投稿内容は採用担当者に見られることを前提としなければいけないでしょう。
●結果的にはリスクが高いフェイスブック
また決定的に、フェイスブックがリスキーである理由があります。例えば、フェイスブック上で企業の人事担当者と学生がやり取りしたことが、公知の事実となってしまいます。採用の選考に関わる問題が公の場で明らかになることは好ましくはありません。フェイスブックの普及に伴い、採用担当者はフェイスブックで学生とコミュニケーションを取る際には気が抜けなくなります。結果的には、採用担当者の高いリテラシーが必要になってくるでしょう。
利用することに障壁が少ないことから、多くの企業で注目されたフェイスブック採用ですが、今後幻想は消滅していくことになるでしょう。やはり採用は直接のコミュニケーションが重要という「リアル重視」の基本路線に立ち返ることになると思います。従って、フェイスブックは就職サイトのような選考母集団形成のツールにならないでしょう。
今後も一部の情報発信・収集ツールとして、利用されていくと推測しています。
(文=尾藤克之)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQ メソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」監修、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績有り。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)など多数。