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ANA、アジアNo.1に向け本格始動&多角化、その勝算は?訓練事業、LCC再出発も

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全日本空輸(ANA)の旅客機
「Wikipedia」より/TC411-507)
  全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスは、ミャンマーの航空会社・アジアン・ウィングス・エアウェイズ(AWA)に25億円投じ、株式の49%を取得する。外国の航空会社による同国の民間航空への投資は初めて。ANAはミャンマー政府当局より認可を得てから契約を締結し、来年3月末までに株取得代金を払い込む予定だ。

 AWAは2011年に設立され、ミャンマー国内の13都市に就航しており、今年10月には国際線に就航した。18年までにエアバスA320を10機運航する体制を目指している。

 ミャンマーを含む大半のアジア諸国は、自国の航空会社保護の観点から、海外の航空会社が自国を経由して第三国へ飛ぶ路線の開設を認めていない。日本の航空会社は国内とミャンマーを結ぶ航空路は押さえることができても、ミャンマー-タイ間のように旺盛な需要がある路線には手が出せないでいる。

 そんな中、ANAは出資先の現地航空会社の路線拡大を通じて、東南アジア域内の需要を取り込む新たなビジネスモデルをつくり、出資先を探していた。AWAはその第1号となる。

 ANAは昨年10月、日本-ミャンマーの定期便を12年ぶりに再開し、9月30日から成田-ヤンゴン線で、機体を大型化して毎日運航することにした。AWAへの出資でミャンマーでの国内・海外への乗り換えが便利になる。ANAはAWAに対してサービスの品質向上に向けた業務支援を行う。AWAからは、飛行機のリースやパイロットの訓練など航空関連事業の収入を得る。

 ANAは昨年8月、公募増資で調達した1700億円の資金で、アジアを中心にM&A(合併・買収)を行う方針を示しており、その一環で今年7月には、パンナム・ホールディングスを137億円(1億3950万ドル)で買収すると発表していた。パンナムHDは1991年に経営破綻したパンアメリカン航空のパイロット訓練部門として設立。同航空の破綻後も独立系の訓練会社として存続してきた。ANAは世界的にパイロットが不足していることから、パイロット訓練事業に目をつけた。

●出足からつまずいたアジア戦略

 ANAは昨年2月、「アジアNo.1」の航空機グループになることを目指す12-13年のグループ経営戦略を策定した。航空業界はLCC(格安航空会社)の相次ぐ新設など、大きな転換期を迎えている。ANAはこの大競争時代を勝ち抜くために、ボーイング787型機の導入やジョイントベンチャーを活用したネットワークの拡充に取り組む方針を打ち出した。

 国際線事業は「長距離需要」と「接続需要」に重点に置いたビジネスモデルを確立する。B787の長距離仕様機を活用した成田-シアトル線、成田-サンノゼ線などの国際線の拡大と中型機によるアジア路線の強化が二本柱だ。

 マレーシアのLCC・エアアジアとANAが共同出資(ANAの出資比率51%)したエアアジア・ジャパンが、12年8月に運航を開始した。13年にはエアバスA330型機を導入し、アジアの中・長距離路線に参入する予定だった。

 だが、アジア戦略は出足からつまずいた。国際戦略の柱だったB787は、今年1月にバッテリーの不具合で一時期全世界で運航停止となった。6月にやっと運航再開したが、再びエンジン用消火器の配線で不具合が見つかるなどトラブルが絶えない。

 エアアジア・ジャパンは、ANA側とエアアジア側の経営方針の違いから、1年もしないうちに提携を解消。ANAはエアアジアが保有する全株式を買い取り、完全子会社とした。10月26日でエアアジア・ジャパンブランドでの運航を終了し、11月1日に「バニラ・エア」として再出発した。運賃体系、サービス内容、制服や機体のデザインなどを刷新して、12月下旬から就航する。当初は成田国際空港を拠点として、国内は沖縄、札幌、国外は韓国・ソウル、台湾・台北への路線でスタートするが、グアムやサイパンなどミクロネシアへの路線も計画している。