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サンリオ、好調の原動力・ライセンスビジネスが岐路に〜独自戦略支えた次期社長が急死

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サンリオピューロランド(「Wikipedia」より/Nesnad)
 11月19日(現地時間)、サンリオの辻邦彦副社長(61)が米国ロサンゼルスで急死した。前日まで精力的に仕事をこなしていたという邦彦氏は、三菱商事から招聘した鳩山玲人常務(39)とハローキティのライセンスビジネスを進めてきた。ちなみに鳩山氏は鳩山由紀夫・元首相の又従兄弟である。

 創業者の辻信太郎社長(85)は、「来年は社長の椅子を譲る」つもりでいた長男・邦彦氏の死で、後継者選びを一からやり直しすることとなった。

 邦彦氏の死去でもう一つ注目されるのが、鳩山氏の去就だ。サンリオが海外のライセンスビジネスに大きくかじを切ったのは2008年。ライセンスビジネスとは、商標登録をしておいた商標を各事業者が使う際に使用許可料(ロイヤルティ)を取る事業だが、サンリオの事業転換の立役者が鳩山氏である。

 鳩山氏は、鳩山一郎元首相の弟である鳩山秀夫氏を曽祖父に持ち、三菱商事時代にはエイベックスやローソンなどでメディア・コンテンツビジネスを経験した。サンリオはテーマパーク投資の損失で最終赤字を出した04年、三菱商事と資本・業務提携に踏み切ったが、鳩山氏はその時の三菱商事側の窓口だった。

 もともとマーケティングの分野に進みたかった鳩山氏は06年、三菱商事を退社し、米ハーバード大学ビジネススクールに留学。マーケティングビジネスを徹底的に研究し、
卒業後の進路に迷っている時にサンリオの邦彦副社長から誘われた。これまでのマーケティング研究を実践する好機と判断して、サンリオに入った。

 その後08年5月、鳩山氏はわずか35歳でサンリオ米国法人のCOO(最高執行責任者)に就任。早速、直営店でキティちゃんグッズを売る物販を縮小して、ライセンスを供与してパートナーに売ってもらうかたちに変えた。物販からライセンスビジネスへの転換である。

●ユニークなライセンス戦略

 鳩山氏のライセンスビジネスのユニークな点は、ライセンスを供与されるパートナー側に、ある程度のデザインの変更を認めていることだ。普通はキャラクターのデザインを勝手に変えることは厳しく制限されている。サンリオの場合、つけまつげをしたキティもいれば、黒い服を着たキティもいる。

 キャラクタービジネスは一業種・一企業が通常だが、サンリオは違う。ファストファッションの分野ではH&M(スウェーデン)やZARA(スペイン)、フォーエバー21(米国)にライセンスを供与している。子供向け、ティーンエージャー向けなどターゲットを細かく分類し、競合がないようにして、同業種の複数の会社にライセンスを供与する。

 自由にキャラクターを変更可能なことから、キャラクターのイメージの統一感が失われ、飽きられてしまう可能性はある。ライセンスビジネスは手軽にロイヤルティを得ることができる半面、ブランドの価値が失われるリスクを常にはらんでいるからだ。

 海外でキティ人気が持続している今こそ、次の柱づくりが急がれる。ライセンスビジネスの大成功でマーケティングの第一人者になった鳩山氏は、後ろ盾の死で、サンリオに残るのか、はたまた新天地を見つけるのかの選択を迫られることになる。

 サンリオの株価は9月18日に14年ぶりに6000円台を達成し、9月27日には過去14年間で最も高い6270円をつけた(上場来の高値は90年の9040円)。訪日外国人の増加による、テーマパーク事業の採算改善が材料だ。円安を追い風に、外国人観光客の数は前年同期に比べて5割増のペースで推移している。