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「イオンは元日も営業」広告はブラック企業的?→地方では激混みで高いニーズも

文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト
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イオンモール

 近年では百貨店や大手チェーンなどでも元日休業が一般化するなか、イオンが「イオンは大晦日も元日も年中無休で営業しております」とPRする広告を展開。これに対し一部SNS上では「もうこういうの企業イメージ悪くする」「元日くらいは従業員を休ませるべき」「現場は大変」などとマイナスの評価があがる一方、「『開くな』って同調圧力もダメ」「年末年始の営業ストップしたら困る人多い」「バイトには人気でした」などと肯定的な意見もあがり議論を呼んでいる。令和の現在、小売・飲食チェーンが元日も営業するというのはブラック企業的といえるのか。また、元日に出勤する従業員はどのように受け止めているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 かつては多くの百貨店や小売チェーンが元日から初売りを行う光景がみられたが、2010年代後半から「働き方改革」の影響もあり元日休業の動きが拡大。百貨店では、そごう横浜店のように元日から初売りをする店舗もあるが、三越、伊勢丹、西武は2日から、大丸、高島屋は3日から営業と、1~2日は休業するところが多い(店舗によって異なる/以下同)。チェーンスーパーでは、オーケー、ライフ、サミット、ヤオコーは多くの店舗が3が日は休業、「いなげや」は2日から営業となったのに対し、イオン、イトーヨーカドー、西友は元日から営業。家電量販店ではヨドバシカメラとビッグカメラは元日から営業、ヤマダデンキは2日から営業。このほか、外食チェーンは元日から営業しているところが多いが、商業施設内の店舗は施設の営業時間に準じるかたちになった。

商圏の消費者のニーズを勘案

 そんななかで注目されたのがイオンだ。イオンリテールは1月1日から5日まで「イオン」「イオンスタイル」など約380店舗で「イオン 超!初売り」を開催し、国内に約200店舗を展開するイオンモールも多くの店舗で元日営業を行った。SNS上では前述のとおり元日営業にさまざまな反応が寄せられていたが、1日には「激混み」となった状況を報告する投稿も相次いでいた。

 流通ジャーナリストの西川立一氏はいう。

「百貨店やスーパーなどは元日休業が一般的になりましたが、これは従業員満足度の向上が大きな目的であり、世の中の流れとしては元日休業が大勢といえます。一方、東京の商業施設をみてみると、ラフォーレ原宿、お台場のダイバーシティ東京、ららぽーと豊洲など、元日でも人が多く集まるエリアの商業施設には営業しているところもあります。そうしたエリアに出向く人々からすれば、遊びに行ったり買い物ができる大きな商業施設が営業していたほうがよいでしょうから、そうした消費者のニーズを受けて元日営業を行うという判断をしている面もあるでしょう。

 特に地方のイオンやイオンモールの場合、周辺に他に元日営業している施設が少ないというケースもあり、家族や友人たちと買い物やレジャーを楽しめる場所を提供するという考えで、商圏の消費者のニーズを勘案して元日も営業するという面もあるでしょう。イオンモールには映画館や子どもが遊べるエリアなどが設置されているところも多く、周辺住民としても元日に行けるところがあるというのは、ありがたいでしょう。

 一方、働く側としては、パート・アルバイト含めた従業員には正月出勤分として追加手当が支給され、予め勤務シフトを組んで対応することになるので、強制的に無理やり働かされるというかたちにはなりにくいです」

 小売チェーン関係者はいう。

「大手であれば基本的には正月出勤手当や代休が用意されており、正月は働いてお金を稼いで平日休みをたくさん取れたほうがありがたいという人は意外と少なくなく、イオン規模ならパート・アルバイト含めた従業員数は多いためシフトの調整もつきやすく、それほど問題は生じません。ただ、納品業者や入居しているテナントのなかには、人手不足で人員のやりくりを迫られたり、不本意な出勤を強いられる人というも出てくるかもしれません」

(文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト)

西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー、ラディック代表取締役

西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー、ラディック代表取締役

流通ジャーナリスト。マーケティングプランナー。慶応義塾大学卒業。大手スーパー西友に勤務後、独立し、販促、広報、マーケティング業務を手掛ける。流通専門紙誌やビジネス誌に執筆。流通・サービスを中心に、取材、講演活動を続け、テレビ、ラジオのニュースや情報番組に解説者として出演している。

Twitter:@nishikawaryu

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