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客「食べ切れない量の嫌がらせ」投稿→ラーメン豚山が即座&毅然と反論し話題

文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表
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ラーメン豚山の公式サイトより

「二郎系」といわれることもある人気ラーメン店「ラーメン豚山」の荻窪店(東京)を利用した客が先月30日、SNS上に「全マシマシ」を注文したところ自分だけ規定量を大きく超える量を入れられたと投稿。野菜が山盛りになった当該料理の写真とともに「食いきれないだろのツラされてマジでキモかった」「他の人のマシコールは普通で私のだけ手でギチギチに押し込んでた」「2度と行かねー、最悪」などと綴った。これを受け店に対して批判的な声が広まったが、ラーメン豚山は翌31日、公式X(旧Twitter)アカウント上に「従業員ヒアリングと店内カメラ確認の結果、投稿内容は事実と異なることが判明しましたのでご報告させていただきます」「当日、『全マシマシ』とのご注文に対し『量が多いですが大丈夫ですか?』と確認し『大丈夫』との返答を受け、さらに『もっと盛って』とのご要望に応じ規定量以上を提供しました」とポスト。年末にもかかわらず迅速かつ毅然とした対応を行ったことに、さまざまな反応が寄せられている。一般的に飲食店側は、客がSNS上にクレーム的な内容や味・サービスに関して低評価のコメントを投稿し、それが一定程度広まった場合、どのような対応を取るべきなのか。また、店が客から料理の量について増減のリクエストを受けた場合、どのように対応しているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

「圧倒的な、中毒性。」を謳うラーメン豚山は、豚肉・背ガラ・ゲンコツ・背脂を長時間煮込んだスープに、強力粉を使用した“わしわし”と食べ応えのある麺、分厚くトロトロの豚肉チャーシュー、大盛りのもやしとキャベツ、そしてニンニクを入れたラーメンが特徴。その構成や見た目、味から「二郎系」と呼ばれることもある。オーダー時にニンニク・野菜・背アブラの量、味の濃さを選ぶことができ、ニンニクは抜くことも可能。豚2枚・麺250gの「小ラーメン」は980円となっている。

 東京・神奈川を中心に7都府県に約40店舗を展開しており、運営会社のギフトホールディングス(HD)は「横浜家系ラーメン 町田商店」(約150店舗)、「元祖油堂 油そば」を展開するほか、海外ではアメリカのニューヨークを中心に「E.A.K. RAMEN」、アメリカ・中国・韓国・タイ・ベトナムなどに「MACHIDA SHOTEN」を展開。国内外で計200店舗以上を運営するほか、500店舗以上の店舗をプロデュース。2024年10月期の売上高は285億円、グループ社員は643人(24年10月末現在)、東京証券取引所プライム市場に上場するれっきとした大企業だ。売上・利益ともに右肩上がりで成長を続けており、27年10月期に売上高520億円、営業利益52億円の達成を目標としている。

「ギフトHDの直営店・FC店・プロデュース店は計800店舗で、単純比較はできないものの店舗数でみると『タリーズコーヒー』と同水準であり、『餃子の王将』や『焼肉きんぐ』『日高屋』よりも多い。規模的には大手チェーンといえ、そう考えると今回のトラブル対応も納得できるが、それにしても迅速な対応といえる。ちなみに『ラーメン店に防犯カメラが設置されている』という点について意外だという反応もみられるが、現在ではハンバーガーや牛丼などのファストフードチェーンの店舗では設置が標準となっており、個人経営の店舗でも設置は珍しくない。防犯やトラブル時の事実把握による迅速な解決などの効果が期待でき、客・店員・店舗運営主の全員にメリットがある。先月に北九州市のマクドナルドで起きた中学生が刺された事件でも、店内の防犯カメラの映像が犯人逮捕につながったといわれている」(外食チェーン関係者)

トラブルがあったときの状況を冷静に確認すべき

 一般的に飲食店側は、客がSNS上にクレーム的な内容や味・サービスに関して低評価のコメントを投稿し、それが一定程度広まった場合、どのような対応を取るべきなのか。自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。

「対応は飲食店によってさまざまです。店主が感情に任せて反論してしまい、余計に炎上してしまって逆効果となるケースも見受けられます。では放っておけばいいかというと、それもまたケースバイケースで、有名店の場合は書き込みが拡散されてしまうリスクもあります。書き込んだ人が自分が正しいと思っていたり、相手を貶めてやろうという負の感情から行っているケースもあるので、反論しても火に油を注いでしまったり、周りを巻き込みながら必要以上に目立ってしまい、良い結果にならないことが多いので、まずは静観するのがよいと考えています。

 そしてトラブルがあったときの状況を冷静に確認すべきです。現場にヒアリングをすれば『あのお客さんだ』とわかると思います。店員はイレギュラーな出来事は覚えているものですし、SNS上に投稿された画像や動画から投稿者の特定はしやすいでしょう。調査の結果、店側に非があればきちんと謝罪を行い、非がなければそのときの状況を説明して潔白を主張したほうがいいでしょう。非がないのに説明不足でいると、一般の人々からは怪しいという印象を持たれてしまうので、一定程度広まってしまった場合は謝罪か、潔白の主張や証明か何かしらの対応が必要です。

 ただ、店側もしくはお客さん側が『言った』『言わない』というグレーな状態になるケースも多くあり、どちらかが嘘をついているか、単に聞こえなっただけの可能性もあり、冷静な判断が求められます。防犯カメラの設置は防犯の目的だけでなく、従業員の金銭トラブルやお客さんとのトラブルの回避、トラブル時の証拠収集のために重要ですが、全てのお客さんとの会話を録音することは難しいので、最後は店主の総合的な判断となるでしょう。

 食べログやGoogle マップなどへの書き込みに悩む飲食店もありますが、食べログの場合は事実と異なると思ったら食べログに削除依頼を出します。基本的には『事実が確認できないものは保留として削除』となります。ただし、あまりこれを活用すると、都合の悪い書き込みを削除する店として点数が上がらなくなる可能性があるので注意が必要です。Google マップにも『不適切なクチコミを報告』や『レビューを報告』という機能があるのですが、削除のハードルは高いようで、なかなか削除されないことが多いです。2つとも信ぴょう性や関連性が低い投稿は順位が下になるので、書き込まれてしまった場合は時が経って他の書き込みが増えるのを待つことになります」

料理の量をめぐる店とお客のトラブル

 料理の量をめぐって、店側とお客側が揉めるということは、トラブルの原因としては、多いものなのか。

「料理の量に起因するトラブルは少ないです。お客さんが想定していた量や、メニュー表の写真やサンプルで提示された量よりも少ないケースが考えられます。料理を提供された際に『えっ、これだけ?』と感じることはたまにありますが、そのお客さんはリピート客にならず、店の評判も悪くなるので、長い目で見るとお店にとってもいいことではありません。店は絶えずコストや売値から『どれくらいが適量か』を考えているので、お客さんが想定するボリュームと大きな乖離が生じるということは発生しにくいでしょう。想定より量が多い場合は『逆写真詐欺』などとお客さんが喜んだり、『残してしまって、ごめんなさい』と言うだけなので、トラブルにはなりにくいです。ただし、お客さん側が自尊心を傷つけられたと感じたり、店員の態度が気に食わなかったといったような心情的要素が入ってきたり、食べ残し禁止ルールや罰金がある店舗の場合は、規定以上の量の提供はトラブルになる可能性が出てきます」

ボリューム調整が難しいケースも

 料理の種類やお客の特性・状況によっては、量について「食べ切れないので少なめにしてください」「多くしてください」とリクエストを受けることもあると考えられるが、店側は、どのように対応しているのか。もしくは、基本的には特別な対応というのは拒否するのか。

「基本的には店舗側は対応できますし、対応していると思います。ただし、仕込みの関係で1人前の量が確定してしまっている料理については、ボリューム調整が難しくなります。麺類など、その場でボリュームを調整できるもので、お客さんが『同じ料金でも構わないので少なくして』と言ってくれるのであれば、特に問題はないと思います。もっとも、『ボリュームを少なくして価格を安くして』といった要求を認めてしまうと、オペレーションが煩雑になるだけでなく、ターゲットとする客単価が得られなくなるので、お断りすることになるでしょう。

 追加料金を支払うことで増量可能としている店は、その旨をメニューで表示していますし、大盛りを無料サービスとしているお店であればトラブルは起きにくいです。一方、大盛りに関して何も表記していないお店で大盛りのオーダーが入ってしまうと、1人前単位なら調整可能ですが、0.5人前単位だと残った0.5人前の処理に困るのでお断りしているお店もあると思います。これらロスやコスト、可能な対応を考慮して、大・中・小の3パターンを同一料金で選べたり、麺類でも小盛・並盛・大盛・特盛のようなパターンを決めて同一料金で選べるようにしているお店もあります。

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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