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セブンイレブンから毎日のように苦情を受け謝罪するラーメン店…理不尽な理由

文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表
セブンイレブンから毎日のように苦情を受け謝罪するラーメン店…理不尽な理由の画像1
「ラーメン 野良裏家」の公式Xアカウントより

 千葉市のラーメン店が毎日のように近隣の「セブン-イレブン」店舗から苦情を受ける事態に陥っているとX(旧Twitter)上にポストし、さまざまな声が寄せられている。ラーメン店の利用客がセブンの駐車場に駐車するケースが後を絶たないことが原因だが、ラーメン店の店舗には「セブンイレブン様へ無断駐車されたままご来店の方は入店お断りします」「監視カメラにてすぐに特定、警察に通報され、当店にも苦情が来ます」「発覚した際はお食事中でも即退店していただきます。また今後の入店もお断り致します」と書かれた警告文も掲出されており、店舗が客の迷惑行為にかなり警戒している様子がうかがえる。客が店舗の敷地外で行った迷惑行為・違法行為について、店舗を運営する事業者はどこまで責任を持つ必要があるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 ラーメン店「野良裏家(のらりや) 裏武蔵家2号店」は行列ができる人気店だ。特注の燻製チャーシューなどが特徴で、今月8日からは「野良裏家」「裏武蔵家」各店舗の自慢のモモチャーシューが2枚ずつのったラーメンを提供する。

 その「野良裏家」は今月2日、X(旧Twitter)上に以下文面をポストし話題を呼んだ。

<セブンイレブン様から本日も2度、迷惑駐車の苦情が寄せられております。正直、自分が謝るのはほぼ毎日です。毎日のようにお叱りいただくと、たまになぜ自分が謝らなきゃいけないのか?という思考になってきます。店頭の貼り紙を見てなかった。知らなかった。で済まされることがほとんどです>

<当店専用の駐車場がないのは大変申し訳ないですが、違法駐車、迷惑駐車はお客様自身のモラルの話で、迷惑や損害を受けるのはセブンイレブン様です。なんとか迷惑、違法駐車がなくなるよう皆様にアイディアを頂戴したいです。是非未熟な私にご教授ください。よろしくお願いします>

 同日以外にも以下のようなポストもみられ、セブン-イレブンに相当な気を遣っている様子がうかがえる。

<昨日今日とセブンイレブン様への迷惑駐車ありません! 皆様のご協力ありがとうございます!>

<おかげさまで昼の部セブンイレブン様への迷惑駐車はありませんでした>

<セブンイレブン様へ”駐輪”をしてのご来店に関しましても昨日営業終了後に店長様より当該者を連れて当店に苦情に来られております>

ラーメン屋側は客の行為に責任を持つのか

 東京都内で飲食店を経営する男性はいう。

「飲食店は、店舗から離れた場所に店の名前が入った袋や使い終わった紙コップ、紙類などが投げ捨てられていたり、行列が隣の店舗の前まで伸びたりしていても、クレームを受けることがあります。その都度、謝罪をしたり何らかの対応を取ったりするわけですが、正直、お客の行為に店がどこまで責任を負うべきなのか、いまいちよく分かりません。このラーメン店のような迷惑駐車についても、迷惑駐車をしているのは、あくまでその客なので、なぜ店が謝らなければならないのか判然とはしないものの、クレームを受けると、やはり謝罪するほかないわけです。あくまで自分の店に来てくれているお客なので、警察に通報するというのも気が引けますし、そもそも警察が何か対応してくれるものなのかも分かりません」

 店側はどのような対応を取るのが正解なのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。

「もし、セブンの駐車場がフェンスや門扉などで囲まれた、法律上の囲繞地(いにょうち)と呼ばれるものであれば、『セブンを利用しない車の駐車は認めない、敷地への侵入を許さない』という強い意思が表れていることになりますので、住居侵入等罪(刑法130条)として3年以下の懲役刑が科せられる場合も考えられます。しかし、実際はフェンスなどはなく、誰でも駐車できるような状況ですので、このような犯罪が成立する余地はほぼありません。

 また、『無断駐車は罰金〇万円』などといった看板もありますが、このような『何々をしたら違約金(<罰金>とは刑法上の罪のことのみを言い、民間において罰金などというものはありません。民事では、一定の行為に対し前もって決めた損害金を<違約金>と言います)を払う』といったことは、前もって約束をした人、ルールに同意した人にしか意味がないので、何の効果もありません。無断駐車について損害賠償を要求するにも、『その車を駐車したことで他の客がセブンの駐車場を利用できず、その結果、その客がするはずだった買い物の代金』程度でしょう。

 では、ラーメン屋側は客の行為に責任を持つかどうかですが、『隣のセブンの駐車場に止めてください』などと『推奨』しているような場合以外は、なかなか責任追及もできません。結局、トラブルを防ぐためには警備員を配置するしかないのかもしれません」

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。
山岸純法律事務所

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