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有料会員制図書館が続々オープン、なぜ静かなブーム?民間企業が街おこしを担う例も

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代官山・ヒルサイドライブラリー

 かつて図書館といえば、学習や調べ物をするための誰にでも開かれた空間(学校図書館など一部を除く)であり、学びの場だった。

 しかし近年、飲食ができないことや、館内で携帯電話を使用できないことなどが利用者の不満を誘発し、さらに、限られた開館時間によって、働く人にとっては足が遠のく存在となった。働く女性が増えたいま、利用者のほとんどは子ども、学生、乳幼児連れの保護者となり、静かな空間という代名詞すら今は昔の話。

 そんななか、今、少しずつ増えつつあるのが「会員制図書館」だ。2003年に、森ビルが運営する会員制図書館「六本木ライブラリー」が、六本木ヒルズ(東京・港区)にオープンした。10年が経過したいま、30代のビジネスパーソンを中心に約3,000名の会員が利用している。

 森ビルは、10年7月には「平河町ライブラリー」(東京・千代田区)、今年7月には「アークヒルズライブラリー」(東京・港区)をオープンした。このことから、確実に会員制図書館のニーズがあることは想像するに難しくない。

 12年4月には大阪市で、司書が個人経営する会員制図書館として「ビズライブラリー」が開館した。

 そこで今回は、なぜ会員制図書館の利用者は、近所にある無料の図書館ではなく、会費を払ってまで通うのかを探るべく、08年に渋谷区の複合施設ヒルサイドテラス内にオープンしたヒルサイドライブラリーを訪ねた。

●本がない街

 ヒルサイドライブラリーは、渋谷区代官山に位置する。代官山は、1980年代後半より起こったバブル景気の末期以降、おしゃれな雰囲気の街並みへと変貌し、2000年以降は原宿・表参道エリアに次ぐ高感度なファッションタウンとして広く認知される街となった。ブティック、洋菓子店、レストラン、カフェなどの商業施設も多く見られるが、大部分は閑静な住宅街であり、住みたい街のアンケートなどでもしばしば上位にランクインする人気地域となっている。

 ヒルサイドライブラリーがオープンするまでは、代官山には図書館や本屋がなかった。そこで、ヒルサイドテラスが「新たに本を通じて人がつながっていける施設をつくろう」と考え、会員制図書館・ヒルサイドライブラリーは誕生した。