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セブン&アイ、始動するネット通販トップへの挑戦~積極買収&オムニチャネル戦略の裏側

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セブン-イレブンの店舗
 セブン&アイ・ホールディングスはオムニチャネル戦略を推進する。いつでも買えるインターネットと実店舗を結び、消費者が欲しい商品を、それぞれの要望に沿ったかたちで販売する。そのためにセブン&アイは昨年12月、矢継ぎ早に買収や出資を進めた。

 12月2日、カタログ通販大手のニッセンホールディングスを最大177億円で買収すると発表。中間持ち株会社のセブン&アイ・ネットメディアを通じ、ニッセンに対しTOB(株式公開買い付け)を1月22日まで実施した。ニッセンが行う第三者割当増資を引き受け議決権ベースで計50.74%を取得し、1月29日付で子会社にした。

 カタログ通販の印象が強いニッセンだが、最近では軸足をネット通販に移している。ニッセンの買収により、同社の商品をセブン&アイが展開するセブン-イレブンで受け取れるようにする。ニッセンの13年12月期の売上高は2000億円の見込み。ニッセン買収によって、セブン&アイはインターネット経由の売り上げを早期に1兆円にする予定。現在(1500億円)の約7倍という強気の計画だ。

 12月4日には、米高級衣料品店、バーニーズ・ニューヨークを日本で展開するバーニーズジャパンに出資すると発表。14年1月に東京海上グループのファンドから49.99%の株式を取得し、50.11%を保有する住友商事に次ぐ2位株主になった。取得額は60億円で、グループの百貨店やネット通販でバーニーズの高級なブランド衣料を販売する。ネットと実店舗の融合といっても、商品自体に魅力がなければ消費者は集まらない。そこで、バーニーズの高級ブランドで商品力を高めることにしたわけだ。

 また、12月10日には、岡山、広島両県を中心にスーパー52店を展開する天満屋ストア(岡山市)の株式20%を30億円で取得すると発表。セブン&アイ傘下のスーパー、イトーヨーカ堂を通じ、天満屋グループから今年1月末に株式を取得。イトーヨーカ堂の持分法適用会社に組み入れた。イトーヨーカ堂は全国に180店舗を展開しているが、中国地方の店舗は3店しかない。中国地区ではライバルのイオンがM&Aで店舗網を拡大しており、対抗する狙いがある。

 さらに、12月25日には、デザイン性の高い雑貨や家具を扱うフランフランの運営会社バルスに出資すると発表。14年1月中にバルスが実施する第三者割当増資を引き受けるなどし、間接保有を含めて48.67%を保有。持分法適用会社に組み入れる。取得額は50億円程度。フランフランと雑貨を共同開発するほか、グループの百貨店やショッピングモールにフランフランの店を入店させ、ネット通販のルートにも商品を乗せる。

 ネットで購入した商品をセブンの店頭で受け取れるようにするオムニチャネルを成功させるためには、消費者を引き付ける目新しさが必要になる。セブン&アイの鈴木敏文会長兼CEOは「(流行の)芽が出始めたブランドに速やかに目をつけていく」と、今後もブランド企業の買収や出資に強い意欲を見せている。ブランドの争奪戦が過熱することになる。

●ライバルとの差別化の要、セブン出店を加速

 ネット通販市場は寡占化が進み、アマゾンと楽天の2強が先行している。幅広いオムニチャネルを持ったとしても、商品・サービス・コンテンツに魅力がなければ、単に情報を発信するだけに終わる。ネット専業にないセブン&アイが持つ強みは、コンビニのセブンという切り札を持っていることだ。ネット通販が普及する米国では、ネットで注文した商品を受け渡す場所の重要性が高まっている。

 セブンは、国内外の全店売上高を15年2月期にも10兆円とする中期計画を明らかにした。売上高が10兆円となるのは、コンビニチェーンでは初めて。13年2月期時点で8兆5000億円だった売り上げを、新規の出店で大幅に増やす。現在の国内店舗数は1万6020店(13年12月末時点)。海外でも、15カ国に3万店超をフランチャイズ展開している。国内では店舗のなかった愛媛県などにも進出し、15年2月期には過去最高の1600店の新規出店を計画している。