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祝日「山の日」、5年越しの制定の舞台裏 多くの団体や議員が関与、高い経済効果も

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「Thinkstock」より
 4月25日、与野党9党の賛成多数により、8月11日を「山の日」と定める祝日法改正案が衆議院を通過した。今国会中には成立する見通しだ。国民の祝日が、2016年から1日増えることになるが、「山の日」制定法案は、事前にほとんど報道されていなかったため、突然決まったかのように世間的には受け止められた。

 しかし、日本山岳会の「山の日」制定プロジェクトリーダー、萩原浩司氏によると、「『山の日』祝日制定は、急に決まったことではないのです。09年秋に『山の日』制定プロジェクトを日本山岳会で立ち上げました。それが原点となっています」という。

 10年4月、「山の日」制定プロジェクトは、山岳5団体(日本山岳会、日本山岳協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳ガイド協会、日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト)による「『山の日』制定協議会」へと拡大した。

「運動の手始めとして『山を考える』というパンフレットを制作し配布しました。このパンフレットは、『日本に山はいくつあるでしょうか?』『槍ヶ岳を登った有名な作家は誰でしょうか?』など、『山の常識三択クイズ』というエンタメコンテンツで、山に関心を持ってもらうためのものです。その中で今回の法案の骨格となった『山の日』の趣旨が紹介されています。このパンフレットは好評で、初版の10万部はすぐに在庫がなくなり、その後2年間で4回、計50万部を発行しました。これによって、国民の皆さんへの広報活動が展開できました」(同)

 そんな「山の日」制定運動の最中に、東日本大震災が起きた。

「実は11年4月に東京霞が関の議員宿舎でチラシを配布して、議員会館に陳情に行こうと計画していたのですが、震災で立ち消えになってしまいました。順調にいっていた中でのつまずきにショックを受けましたが、趣旨から見つめ直す、いいきっかけになりました。そこで、もう一度体制を立て直して地方を回り、13年10月3日に、環境、文部科学、国土交通、林野、観光といった省庁のほか、地方自治体、環境保全団体、超党派の国会議員が参加した『~みんなで山を考えよう~「山の日」ネットワーク東京会議』を開催したのです」(同)

 しかし、その会議で採択された「山の日」は、8月11日ではなかったという。

「『東京会議』では、夏山シーズン前の6月第一日曜日を全国一斉の『山の日』にしようと決議しました。6月第一日曜日は山が緑に輝いて、山開きが各地で行われる日です。しかし、会議の後発足した超党派国会議員連盟の案で、企業からの要請もあって8月のお盆の時期に『山の日』を制定することになりました。『お盆で故郷に帰って、地元の山を見つめ直すいい機会になるし、子どもとのふれあいの時間をつくるために、子どもの夏休み期間中に休日を増やすのが一番いいのではないか』と国会議員の方々はおっしゃっていました」(同)

●2年後でないと困る業界も

「山の日」制定法案では16年から施行となっている。それは、祝日が直接ビジネスに影響してくる業界からの陳情があるからだ。